解析概論/第1章/練習問題(1)

提供:Wikisource
移動: 案内, 検索

[編集] 練習問題(1)

(1)
a_1>b_1>0;\; a_n=\tfrac12(a_{n-1}+b_{n-1}),b_n=\sqrt{a_{n-1}b_{n-1}} とすれば,数列 a_n,b_n は同一の極限値に収束する.この極限値を a_1,b_1算術幾何平均という(Gauss).
(2)
a>0,b>0;\; a_1=\tfrac12(a+b),b_1=\sqrt{a_1b},一般に a_n=\tfrac12(a_{n-1}+b_{n-1}),b_n=\sqrt{a_{n}b_{n-1}} とすれば,l=\lim_{n\to\infty}a_n=\lim_{n\to\infty}b_n が存在する.
[1º]
|a|<b のとき,a=b\cos x,\,-\pi<x<\pi,と置けば,l=b\tfrac{\sin x}x.
[2º]
a>b>0 のとき,a=b\cosh x と置けば,l=b\tfrac{\sinh x}x.ただし \cosh x=\tfrac{e^x+e^{-x}}2,\,\sinh x=\tfrac{e^x-e^{-x}}2§54 参照).
[注意] 
[1º] において,直径 1 なる円に内接,外接する辺数 n の正多角形の周の長さを p(n),P(n) と書いて,a=1/P(k),b=1/p(k) とすれば,a_n=1/P(2^nk),b_n=1/p(2^nk) で,極限 l=1/\pi.故に k=4 または k=6 として,\pi の近似値が求められる.これは円周率 \pi の素朴なる計算法の整理である.ただし収束は,はなはだ緩慢である.
(3)
有界なる数列 a_n,b_n に関して
\begin{align}
  \varlimsup(a_n+b_n) &\leqq \varlimsup a_n +\varlimsup b_n,\\
  \varliminf(a_n+b_n) &\geqq \varliminf a_n +\varliminf b_n,
\end{align}
ここで \geqq または \leqq= で置き換えられない.例: a_n=(-1)^n,b_n=(-1)^{n+1}.

和の代りに差,積,商を取ればどうか.

(4)
x が無理数ならば,f(x)=0x=\tfrac{p}{q} が有理数(\tfrac{p}{q} は既約分数で,q>0)ならば,f(x)=\tfrac{1}q とする.このようにして区域 x>0 において定義される函数 f(x) の連続性はどうであるか
[解]
x が有理数ならば,x において不連続.x が無理数ならば,x において連続
問題を少しく変更して,x が小数 n 桁までの十進数(すなわち x=\tfrac{p}{10^n}p10 で割れない整数)なるとき,f(x)=\tfrac{1}{10^n} で,その他の x に対しては f(x)=0 とするならば,結果は同様である.
(5)
f(x),g(x)[a,b] において連続とする.もしも [a,b] 内に稠密に分布されている点 x において(例えば x が有理数なるとき)f(x)g(x) が相等しい値を取るならば,[a,b] のすべての点 x において f(x)=g(x)

二次元以上でも同様である.

(6)
f(x) は或る区間 [a,b] の有理数 x に関してのみ定義されていて,かつ連続の条件を満足するとする.すなわち \varepsilon\text{-}\delta 式でいえば |x-x'|<\delta なるとき,|f(x)-f(x')|<\varepsilon.そのとき,f(x) の定義を拡張して区間 [a,b] において連続なる函数が得られるであろうか? (例: 25 頁に述べた a^x の拡張.)
[解]
必要かつ十分なる条件は,上記の連続条件が一様性を有すること(\varepsilon のみに関係して x,x' に関係しない \delta が存在すること)である.25 頁で,a^x に関しては単調性を用いたが,今度は Cauchy の判定法を用いる.
有理数というのは一例で,区間内において稠密なる点集合でもよい.また二次元以上でも同様である.
(7)
f(x)(a,\infty) で連続で \lim_{x\to\infty}(f(x+1)-f(x))=l ならば \lim_{x\to\infty}\frac{f(x)}x=l.(Cauchy
[解]
f(x)f(x)-lx を代用すれば l=0 なる場合に帰して,幾分か簡単になる.一例として f(x)=\log x が挙げられる.
(8)
f(x) は区域 K における連続函数で,x が区域 K に属するとき,f(x) は区域 G に属するとする.また,g(y) は区域 G における連続函数とする.然らば,g(f(x)) は区域 K における連続函数である.

要約すれば,連続函数の連続函数は連続函数である.二次元以上でも同様である.

(9)
a>0 のとき (a^x)^y=a^{xy} はすべての実数値 x,y に関して成り立つ.ただし,x,y が有理数なるとき,それは既知とする.
[解]
f(x,y)=x^yx>0,y>0 において,x,y の連続函数であることを用いて,25 頁と同様に証明される(上記問題 (8) 参照).f(x,y) の連続性は,xy 平面上の有界なる区域で,f(x,y) が有理数 x,y に関して,一様に連続の条件(問題 (6))を満たすことから得られる.(この解法は,問題 (6) の適用の一例を示す.)



PD-icon.svg
Flag of Japan.svg
この日本を法管轄とする文書は、著作者(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者)の死亡した日の属する年の翌年から起算して50年を経過したものであるため、日本の著作権法第51条及び57条の規定により著作権の保護期間が満了しています。


個人用ツール
名前空間

変種
操作
案内
印刷/エクスポート
ツールボックス