解析概論/第1章/収束の条件Cauchyの判定法
提供:Wikisource
[編集] 6.収束の条件 Cauchy の判定法
定理 8.
数列
が収束するために必要かつ十分なる条件は,任意の
に対応して番号
が定められて,
なるとき 
[証]
条件が必要なることは明白であろう: 今
とすれば,収束の意味によって,

が定められる.従って
. 定理の核心は条件が十分なることである.まずこの条件から数列
が有界であることがでてくる.実際,上記条件に従って,一つの
に
が対応するとすれば,
なるとき


より大きい番号に関しては
は有界である.
は確定だから,有限個の数
をつけ加えても,
は有界である. よって今任意の
に関して,
の上限および下限をそれぞれ
として,
と置けば,
(1)


に
が対応して,
なるとき

とすれば,上限の意味により,任意の
に対して
.従って,下限の意味により


が存在する.然らば

は区間
に属するから,十分大なる
に関して,

(証終)
[附記]
上極限・下極限
上記証明において,(1) は数列
の有界性だけから導かれたのであった.(1) において,単調数列
は収束する.その極限を
とするとき,
を有界数列
の上極限(limes superior)といい,それを記号
あるいは見やすく
で表わす.同様に
を
の下極限(limes inferior)といい,
または
と書く.このように有界数列
は常に上極限
と下極限
とを有して,
であるが,それらが一致するときに限って,数列は収束して

(I)
上極限
は次の性質を有する.
(1º)
よりも大なる
を取れば,十分大なる
に関して常に
.(2º)
よりも小なる
を取れば

が無数にある.(II)
どんなに
に近いところにも無数の
がくる.しかし
よりも大なる
を取れば,このようなことはない.あるいは:
(III)
の部分数列で
に収束するものはあるが,
よりも大なる
に収束するものはない.
を
の上極限というのは,それを示唆するのである.下極限
に関しては上記 (I),(II),(III) において大小の関係を逆にすればよい.
有界でない数列
に関しても上極限,下極限を定義することが,応用上便利である.それをなるべく簡明に述べるために,(III) において収束数列の極限として
を許容することにする.よって
が上方に有界でないならば
,
が下方に有界でないならば
,
が上方に有界で下方に有界でないときには,
または
に従って
または
.
が下方に有界で,上方に有界でないときの
も同様である.
をも入れていえば,任意の数列
に関して
は常に存在するが,それらが一致するときに限って,その共通の値として
が存在する.
[例 1]

[例 2]
.すなわち数列は
で,
.ここでは,数列中に
よりも大きい項も,
よりも小さい項も無数にある.[例 3]

[例 4]
(ただし
は無理数).
(証明はむつかしいが,
が無理数ならば,単位円周上の定点
を起点として同じ向きに長さが
なる弧
を取れば,点
は円周上に稠密に分布される).
点列
一次元における数列と同じように,二次元でも,順位を示す各自然数
に対応して点
が定められるとき,点列
が生ずる.
点列
の極限とは,次の条件に適する定点
をいう: すなわち,どれほど小なる正数
を取っても,それに対応して番号
を十分大きく取れば,
なるとき 
は
に収束するという.
三次元以上でも同様である.点列の収束に関しては,Cauchy の判定法を次のように述べることができる.
点列
が収束するために必要かつ十分なる条件は,正なる
を任意に取るとき,それに対応して自然数
が定められて,
よりも大なる任意の
に関して
なることである.| この日本を法管轄とする文書は、著作者(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者)の死亡した日の属する年の翌年から起算して50年を経過したものであるため、日本の著作権法第51条及び57条の規定により著作権の保護期間が満了しています。 |
だから,
.それが
の上限としての
の意味によって,任意の
に関して
,なる
をいう(
であるが,逆にこれから
を得る.故に
は
