解析概論/第1章/区間縮小法

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[編集] 5.区間縮小法

定理 7.
閉区間 I_n=[a_n,b_n]\, (n=1,2,\ldots) において,(1º) 各区間 I_n がその前の区間 I_{n-1}に含まれ(2º) n が限りなく増すとき,区間 I_n の幅 b_n-a_n が限りなく小さくなるとすれば,これらの各区間に共通なるただ一つの点が存在する.

この定理によって一つの数(各区間に共通なる数)を確定することを,区間縮小法という.

[証]
仮定 (1º) によって
a_1\leqq a_2\leqq\cdots\leqq a_n\leqq\cdots\cdots\leqq b_n\leqq\cdots\leqq b_2\leqq b_1.
すなわち数列 \{a_n\}, \{b_n\} は単調でかつ有界である.よって
\lim a_n=\alpha, \quad \lim b_n=\beta
が存在する(定理 6).さて任意の m, n に関して a_n<b_m だから,n\to\infty のとき \alpha\leqq b_m,従って m\to\infty のとき \alpha\leqq\beta7 頁[注意]). さて仮定 (2º) によって,任意の \varepsilon>0 に対応して,
b_n-a_n<\varepsilon
なる n が存在する.然らば
a_n\leqq\alpha\leqq\beta\leqq b_n
から,
0\leq\beta-\alpha<\varepsilon.
\varepsilon は任意だから \alpha=\beta. 任意の n に関して a_n\leqq\alpha\leqq b_n だから,\alpha は各区間 I_n に属する.\alpha 以外に各区間に共通なる数の存在しないことは仮定 (2º) によって明白である.
(証終)

この定理において,区間 I_n を閉区間として, I_n の両端 a_n, b_nI_n に属すると仮定した.この仮定は必要である.\alpha は開区間 (a_n,b_n) に属するとは限らないから,I_n が閉区間でなければ,上記証明は拘束力を失うであろう.実際,区間の左端(または右端)がすべて同一の点なる場合には,その点がすなわち \alpha である.

以上において,実数の連続性に関する四つの基本的定理を述べた.すなわち

(I)
Dedekind の定理(定理 1).
(II)
Weirstrass の定理(上限または下限の存在,定理 2).
(III)
有界な単調数列の収束(定理 6).
(IV)
区間縮小法(定理 7).

我々は (I) を公理のように取扱って,(I) から (II) を導き,次に (II) から (III) を,また (III) から (IV) を導いたが,これらの定理は,実は,同等である.すなわち四つの定理の中の任意の一つを承認すれば,他の定理はそれから導かれる.それを示すためには,(IV) を仮定して (I) を証明すればよい.

四つの基本的定理

(A,B) を実数の切断とする.我々の目標は定理 7 を仮定して,下組 A に最大数があるかあるいは上組 B に最小数があるか,いずれか一方,しかもただ一方のみの可能性を証明することである.

A, B から一対の数 a, b を取り出して,区間 [a,b]I_0 と名づける.さて \tfrac{a+b}{2}ab との中間にあるが,それは A または B のいずれか一方に属しなければならない.\tfrac{a+b}{2}A に属するか,または,B に属するかに従って,

a_1=\frac{a+b}{2}, b_1=b: または a_1=a, b_1=\frac{a+b}{2}

と置けば,区間 I_1=[a_1,b_1] の左端は A に属し,右端は B に属する.区間 I_1 は区間 I_0 の左半または右半で,その幅は b_1-a_1=\tfrac{1}{2}(b-a) である.

同様にして区間 [a_1,b_1] の左半または右半を I_2=[a_2,b_2] とすれば, a_2A に属し,b_2B に属して,b_2-a_2=\tfrac{1}{4}(b-a)

このような操作を継続すれば,区間の列

I_0\supset I_1 \supset I_2 \supset \cdots \supset I_n \supset\cdots [* 1]

I_n=[a_n,b_n],\quad b_n-a_n=\frac{1}{2^n}(b-a)

を得るが,それは定理 7 の条件に適合するものである.そこで定理 7 に従って,この区間列によって定められる確定の数を s とすれば,s は切断 (A,B) の下組または上組に属しなければならない.

s\in A とする[* 2].然らば s<s' なる s' を取れば,b_n\to s によって s<b_n<s' なる b_n が存在するから,s'B に属する.すなわち sA に属して,s よりも大なる s' はすべて B に属する.換言すれば sA の最大数である.このとき, B に最小数はない.――もしも,かりに s'B の最小数とするならば s<s',従って上記のように b_n<s' なる b_n が存在する.しかも b_nB に属するから,これは不合理である.

もしも s\in B ならば,全く同様にして,sB の最小数で,A に最大数がないことが示される.

すなわち,定理 7から Dedekind の定理が導かれたのである.


  1. 集合 A,B に関して A\supset B は‘AB を含む’ことを表わす.すなわち B に属する数は全て A に属するのである.
  2. s\in A は,‘s が集合 A に属する’ことの略記である.s が集合 A に属するとき,sA の元(element)という.s\in A は ‘s ἐστί A’(sA である)に由来する.



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