約翰傳第十六章

提供:Wikisource
  • : この文書ではルビが使用されています。ここでは「単語ルビ」の形で再現しています。一部の古いブラウザでは、ルビが正しく見えない場合があります。

第十六章[編集]

[1] なんぢらにこのことをかたりしはまどはされざるためなり
2 ひと〴〵はなんぢらを會堂くわいどうよりしりぞけん かつなんぢらをころすものはかみにつかふるとおもはんときいたらん
3 このことをなんぢらなすはちゝとわれとをしらざればなり
4 それこのことをなんぢらにいひしは ときいたらばなんぢらにわがかくいひしことをこゝろにかけさせんとなり はじめにこれをなんぢらにいはざりしは われなんぢらとともにおればなり
5 われいまわれをつかはせしものにゆけども なんぢらひとりもいづこへゆくとたつ[づ]ぬるものなけれども
6 われこのことをいひしによつて うれひなんぢらのこゝろにみてり
7 されどもまことをなんぢらにいはん わがゆくはなんぢらのゑきなり もしゆかずは[ば]なぐさむるものなんぢらにきたらじ もしゆかばかれをなんぢらにつかはさん
8 かれきたつて つみとまたたゞしきとまたさは[ば]きについて をふくさしむべし
9 つみにおいてはわれをしんぜざればなり
10 たゞしきにおいてはわれわがちゝへゆきて なんぢらわれをまたみざればなり
11 さばきにおいてはこのきみさばきをうくればなり
12 われなほなんぢらにおほくのかたらんことあれども いまなんぢたえがたし
13 しかるにかれはすなはちまことのたまにて きたればすべてのまことになんぢらをみちびき みづからいはずしておよそきゝしところのことをなんぢらにいひ またきたらんことをなんぢらにしめさんとすればなり
14 かれわれをあがむべし こはわがものをうけてなんぢらにしめさんとすればなり
15 すべてちゝのあるところのものはわがものなり このゆゑにかれわがことのうちよりとりてなんぢらにしめさんといへり
16 しばらくなんぢらわれをみず またしばらくしてわれをみるべし こはわれちゝへゆかんとするなり
17 あるでしたがひにいひけるは しばらくなんぢらわれをみず またしばらくしてわれをみるべし かつこれはわれ父へゆかんとするなりといひしことはなにのことぞ
18 しばらくといひしことはなにごとぞ そのいひしことはなにといふことかしらずといへり
19 耶穌かれらのとはんとほつすることをしりていひけるは しばらくわれをみず またしばらくしてわれをみるべしといひしことをたがひにたづぬるか
20 まことにまことになんぢらにつげん なんぢらなげきかなしみ はよろこぶべし なんぢらうれふるとも なんぢらのうれひはかはりてよろこびとなるべし
21 おんなはうまんとするときにうれひあり そのとききたればなり をうみしのち人はにうまれしよろこびによりて なほまたそのくるしみをおもはず
22 かくなんぢらもいまうれひありとも またわれなんぢらをみん なんぢらのこゝろはよろこぶべし かつなんぢらのよろこびをうばふものなし
23 その日になんぢらわれにとふところなかるべし まことにまことになんぢらにつげん およそわがによりてちゝにねがふところのものを父これをなんぢらにさづけたまふべし
24 いままでなんぢらわか[が]によりてねがふことなし なんぢらのよろこびをみたしめんためにねがふてうくべし
25 たとへをもつてこのことをなんぢらにかたりしに たとへなくしてかたるときいたり またちゝにおいてあきらかにしめず[す]べし
26 その日になんぢらわがによりてねがはん われなんぢらのためにちゝにねがはんといはず
27 いかにとなればなんぢらわれをいつくしみ またわれ父よりきたりしことをしんぜしにより ちゝなんぢらをいつくしむゆゑなり
28 われ父よりいでゝにきたりしに またをはなれて父にゆく
29 でしかれにいひけるは みよ いましゆあきらかにいひて たとへをいはず
30 いましゆのしらざるところなく また人のとふことはしゆにかゝはらずとしる これによりてしゆかみよりいでしことをしん
31 耶穌かれにこたへけるは いましんずるか
32 みよ なんぢらおの〳〵みつ[づ]からのいへにはなれて われをひとりにすつるときいたらん いまもきたりぬ しかるにちゝわれとともにをるによりてわれひとりにあらず
33 なんぢらわれにおいてやすからしめんためにこれをいひぬ にくるしみにあはんなれども やすんぜよ われはにかちぬ