第二十「カフィズマ」他

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第百四十三聖詠[編集]

ダワィドえい。(ゴリアフてきす)

あがめらるるかなしゅ防固かため戦闘せんとうをしへ、ゆび攻撃こうげきをしふるもの

あはれみ守護まもり避所かくれがすくひたてなるものや、われかれたのむ、かれたみわれしたがはしむ。

しゅよ、ひと何物なにものたる、なんぢこれるか、ひと何物なにものたる、なんぢこれかへりみるか、

ひと吹嘘いきごとく、そのうつかげごとし。

しゅよ、なんぢてんかたぶけてくだれ、やまれよ、しかせばけむりたん、

いなづまひらめかしてかれらし、なんぢはなちてかれみだたまへ。

高處たかきよりなんぢべてわれのがし、おほくのみづより、ぞく諸子しょしよりわれすくたまへ、

かれくちむなしきことをふ、其右そのみぎいつはりみぎなり。

かみよ、われあらたなるうたなんぢうたひ、十弦じうげんこともつなんぢ

一〇 諸王しょおうすくひたまひ、なんぢぼくダワィド残害ざんがいつるぎよりのがれしむるものうたはん。

一一 われぞく諸子しょしよりのがして、われすくたまへ、かれくちむなしきことをふ、そのみぎいつはりみぎなり、

一二 ねがはくはわれだんわかとき成長せいちょうする植物しょくぶつごとく、われぢよは、たくみきざみたる宮殿きゅうでんはしらごとくならん。

一三 ねがはくはわれくらちて、各種かくしゅ穀物こくもつゆたかならん、ねがはくはわれひつじ千萬せんまんわれまきさんし、

一四 われうしえん、ねがはくはわれちまたかすめなく、損失そんしつなく、嘆息たんそくこゑなからん。

一五 くのごとたみさいはひなり。しゅ其神そのかみとなすたみさいはひなり。


第百四十四聖詠[編集]

ダワィドの讃詠さんえい

かみおうよ、われなんぢたふととみ、なんぢ世世よよあがめん。

われ日日ひびなんぢあがめ、なんぢ世世よよげん。

しゅおほいにしてめらるべし、そのげんはかがたし。

なんぢ作爲しわざげ、なんぢ能力のうりょくべん。

われなんぢげん高大こうだいなる光榮こうえいと、なんぢ奇異きいなる所爲しわざとをねんせん。

ひとなんぢおそるべき作爲しわざ能力のうりょくかたらん、われなんぢげんべん。

ひとなんぢおほいなるじんねんとなへ、なんぢうたはん。

しゅこうにして矜恤きょうじゅつ寛忍かんにんにして鴻恩こうおんなり。

しゅことごとくのものじんなり、そのこうそのことごとくの作爲しわざにあり。

一〇 しゅよ、ねがはくはなんぢことごとくの所爲しわざなんぢ讃榮さんえいし、なんぢ聖者せいしゃなんぢあがめん、

一一 ねがはくはなんぢくに光榮こうえいつたへ、なんぢ能力のうりょくべん、

一二 ひとしょなんぢ能力のうりょくと、なんぢくに光榮こうえいなるげんとをらしめんためなり。

一三 なんぢくに永遠えいえんくになんぢ宰制さいせい萬世ばんせいいたらん。しゅことごとくのことばただしく、そのことごとくの所爲しわざせいなり。

一四 しゅはおよそたふるるものたすけ、およおとされしものおこす。

一五 ことごとくのものなんぢのぞむ、なんぢときしたがひてかれかてたまふ、

一六 なんぢひらき、めぐみをもつことごとくのけるものかせたまふ。

一七 しゅそのことごとくのみちにして、そのことごとくの所爲しわざじんなり。

一八 しゅおよこれものおよ真実しんじつもつこれものちかし、

一九 かれおそるるもののぞみをおこなひ、かれこゑき、かれすくふ。

二〇 しゅはおよそかれあいするものまもり、およその虔者けんしゃほろぼさん。

二一 くちしゅさんべん、ねがはくはことごとくの肉体にくたいかれせいなる世世よよあがめん。

光榮讃詞


第百四十五聖詠[編集]

(アリルイヤ)

たましひよ、しゅげよ。

われけるうちしゅげん、われ存命ぞんめいうちかみうたはん。

牧伯ぼくはくたのなかれ、すくあたはざるひとたのなかれ。

かれいきゆればつちかへり、およかれはかところそのゆ。

イアコフかみたすけらるるひとさいはひなり、

しゅかみすなはちてんうみおよ其中そのうちものとをつくり、なが真実しんじつまもり、

窘迫きんぱくせらるるものためさばきをなし、うるものかてあたふるしゅたのひとさいはひなり。しゅ囚人めしうどき、

しゅ瞽者めしひひらき、しゅかがめられしものおこし、しゅじんあいす。

しゅ羇客たびびとまもり、孤子みなしご寡婦やもめとをたすけ、ただ虔者けんしゃみちくつがへす。

一〇 しゅ永遠えいえんおうとならん、シオンよ、なんぢかみ世世よよおうとならん。


第百四十六聖詠[編集]

(アリルイヤ)

しゅげよ、けだしわれかみうたふはぜんなり、けだしたのしきことなり、よろしきにかなへるさんなり。

しゅイエルサリムて、イズライリはれしものあつむ。

かれこころいためるものいやし、そのうれひいやす。

かれほしかずかぞへ、ほとごとそのもつこれぶ。

しゅおほいなり、そのちからまたおほいなり、その智慧ちゑはかがたし。

しゅみづかひくくするものげ、悪者あくしゃひくくしてくだす。

りんもつ讃頌ほめうたしゅうたへ、こともつかみうたへよ。

かれくももつてんおほひ、ためあめそなへ。やまくさしょうぜしめ、ひともとめためさいしょうぜしむ、

しょくもつけものあたへ、かれからすひなあたふ。

一〇 かれうまちからかへりみず、ひとあしはやきをよろこばず、

一一 しゅかれおそるるものよろこび、そのあはれみたのものよろこぶ。


第百四十七聖詠[編集]

(アリルイヤ)

イエルサリムよ、しゅげよ、シオンよ、なんぢかみげよ、

けだしかれなんぢもんはしらかため、なんぢうちおいなんぢしょふくくだし、

平安へいあんなんぢさかひほどこし、嘉麦よきむぎなんぢかしむ。

かれそのことばつかはす、そのことばす。

かれゆきひつじごとくにらし、しもはひごとくにき、

そのひょうつちくれごとくになげうつ、たれその厳寒げんかんしのがん。

かれそのことばつかはさば、ことごとけん、そのかぜかば、みづながれん。

かれそのことばイアコフしめし、そのおきてそのさだめとをイズライリしめせり。

かれいづれたみにもおこなはざりき、かれそのさだめらず。

光榮讃詞


第百四十八聖詠[編集]

(アリルイヤ)

てんよりしゅげよ、いとたかきにかれげよ。

ことごとくのてん使よ、かれげよ、そのことごとくのぐんよ、かれげよ。

つきよ、かれげよ、ことごとくのひかほしよ、かれげよ。

諸天しょてんてんてんよりうへなるみづよ、かれげよ。

しゅぐべし、けだしかれひたれば、すなはちり、めいじたれば、すなはちつくられたり、

かれこれてて世世よよいたらしめ、のりあたへてこれえざらしめん。

よりしゅげよ、大魚おほうをことごとくのふち

あられゆききりしゅことばしたが暴風ぼうふう

やまことごとくのをかくだものことごとくのはく香木こうぼく

一〇 じうもろもろちくものとり

一一 諸王しょおう萬民ばんみん牧伯ぼくはくしょゆう

一二 少年しょうねん處女しょぢょおきなわらべは、

一三 しゅぐべし、けだしただそのたかげられ、その光榮こうえいてんあまねし。

一四 かれ其民そのたみつのたかくし、その諸聖人しょせいじんイズライリしょかれしたしきたみさかえたかくせり。


第百四十九聖詠[編集]

(アリルイヤ)

あらたなるうたしゅうたへ、そのさん聖者せいしゃかいり。

イズライリおのれ造成主ぞうせいしゅためたのしむべし、シオンしょおのれおうためよろこぶべし。

まひもつかれげ、つづみこととをもつかれうたふべし、

けだししゅ其民そのたみめぐみ、すくひもつけんものさかえしむ。

諸聖人しょせいじん光榮こうえいりていはひ、其榻そのとこりてよろこぶべし。

其口そのくちにはかみ讃榮さんえいあり、そのにはもろつるぎあるべし、

あだ諸民しょみんむくい、ばつ諸族しょぞくおこなひ、

その諸王しょおうなはにてしばり、その諸侯しょこうてつくさりにてつなぎ、

かれためしるされし審判しんぱんおこなはんためなり。さかえそのことごとくの聖人せいじんり。


第百五十聖詠[編集]

(アリルイヤ)

かみその聖所せいしょげよ、かれその有力ゆうりょく穹蒼おほぞらげよ。

その権能けんのうりてかれげよ、そのいとおごそかなるにりてかれげよ。

ラツパこゑもつかれげよ、きんしつとをもつかれげよ。

つづみまひとをもつかれげよ、いとしょうとをもつかれげよ。

せいばつもつかれげよ、大聲たいせいばつもつかれげよ。

およ呼吸いきあるものしゅげよ。

光榮讃詞

その他[編集]

えい経中きょうちゅうくはへず。ダワィドべつこれつくりて、ゴリアフたたかひしことをしるせり。

われ兄弟けいていうちおいちひさく、ちちいへおいもつとわかかりき、ちち羊群ようぐんぼくせり。

しょうつくり、ゆびこと調しらべたり。

たれしゅぐるあらん、しゅみづかからき、

みづかからその使つかひつかはして、われちち羊群ようぐんよりり、そのへいあぶらもつわれあぶらせり。

兄弟けいていうるはしくしておほいなれども、しゅかれえらぶをよろこばざりき。

われでて邦人ほうじんむかひしに、かれその偶像ぐうぞうもつわれのろへり。

しかれどもわれそのつるぎうばひ、其首そのくびりて、イズライリしょはぢそそぎたり。


聖詠経終