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明治元訳新約聖書 (大正4年)/使徒行傳

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[千八百四十五]
新約全書しんやくぜんしょ使徒行傳しとぎょうでん

第一章

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テヨピロわれすでに前書まへのふみつくりおほよイエスはじめおこなへるところをしへところしる
其選そのえらびたる使徒等しとたち聖靈せいれいよりめいぜしのちあげられしときにまでいたれり
それイエス苦難くるしみうけのちおほくの確據たしかなるしるしおのれいきたることあらは四十日しじふにちあいだかれらにかみくにことつきかた
また彼等かれらともあつまめいじけるハ爾曹なんぢらエルサレムはなれずしてわれきけところちゝ約束やくそくたまひしことまつべし
そはヨハ子みづてバプテスマをなしたれども爾曹なんぢらひさしからずして聖靈せいれいによりバプテスマをうくべければなり
あつまれるものかれにとひけるハしゅなんぢいまくにイスラエルかへさんとする
彼等かれらいひけるハちゝ其權そのちからにてさだめたまへるときまた爾曹なんぢらしるべきところあら
されども聖靈せいれいなんぢらにのぞむより後爾曹能力のちなんぢらちからうけエルサレムユダヤ全國ぜんこくサマリヤおよびはてにまで證人あかしびとなるべし
此事このこと言畢いひをはりしのち彼等かれらみるうちあげらるくもこれをうけみえざらしめたり
イエスのぼれるときかれらてんあふたりしに白衣しろきころもたる二人ふたりひとありてかたはらたち
十一 いひけるハガリラヤびと何故なにゆゑてんあふぎたてるや爾曹なんぢらはなれてんあげられしこのイエス爾曹なんぢらかれてんのぼるをたる其如そのごとまたきたらん


十二 其時そのときかれら橄欖かんらんなづくやまよりエルサレムちかおほよ安息日あんそくにちゆきうるみちのりなり
十三 すでいりたかどののぼれりこゝとどまれるものペテロヤコブヨハ子アンデレピリポトマスバルトロマイマタイアルパイヤコブゼロテいへシモンヤコブ兄弟きゃうだいなるユダなり
十四 すべてこの人々ひとゞゝ婦等をんなたちおよびイエスはゝマリヤまたイエス兄弟きゃうだいともこゝろあはせてつね祈禱いのりつとめたり


十五 當時そのころペテロ弟子等でしたち(そのあつまれるものおほよそ百二十人ひゃくにじふにんなり)のなかたち
[千八百四十六] ていひけるハ
十六 人々ひとゞゝ兄弟きゃうだい聖靈せいれいダビデくちによりてイエスとらふものみちびけるユダつきあらかじめかたりたる此聖書このせいしょかならおうずべかりしなり
十七 そはかれも我儕われらともつらなりて此職このつとめうけたればなり
十八 斯人このひと不義ふぎあたへをもて地所じしょかひまたさかさまおち眞中たゞなかよりやぶ其膓そのはらわたことゞゝく流出ながれいでたり
十九 此事このことエルサレムすめすべてひとしれしかバ其地所そのじしょ方言くにことばにてアケルダマとよぶこれをとけ地所ぢしょなり
二十 まきしるしてかれいへむなしくなれ其中そのうちひと住居すまはするなかかれつとめ他人ひとさせよといへ
二一 是故このゆゑしゅイエス我儕われらうち往來ゆきゝたまひたるあいだ
二二 すなはヨハ子のバプテスマよりはじめわれらをはなれあげられしいたるまでつね我儕われらともありもの中一人うちひとりわれらととも其 甦そのよみがへりしこと證 人あかしびとなるべきなり
二三 こゝおいバルサバとなふヨセフまたユストいへものマッテアとの二人ふたりあげ
二四 いのりいひけるハ衆 人すべてのひとこゝろしりたまふしゅねがはくハ奉事つかふることゝ使徒しとつとめさせんがため此二人このふたりのうちいづれえらびたまひしかしめたま
二五 すでユダ此職このつとめはなれ其往そのゆくべきところゆきたり
二六 かくくじとりしにマッテアあたりけれバ彼十一人かれじふいちにん使徒等しとたちともつらなれり

第二章

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ペンテコステのいたり弟子等でしたちみなこゝろあはせて一處ひとゝころありしに
にはかてんより迅 風はげしきかぜごとひゞきありて彼等かれらするところいへみて
ほのほごときものあらはわかれ彼等かれら各人おのゝゝうへとゞま
こゝおい彼等かれらハみな聖靈せいれい滿みたされ其聖靈そのせいれいいはしむるにしたがひてことなる諸國くにゞゝ方言ことばいひハじめたり
とき敬虔つゝしみあるユダヤ人天下びとてんか諸國くにゞゝよりきたりエルサレムとゞまれるものありき
此音このおとおこりしによりおほくの人々集ひとゞゝあつまりけるが各人おのゝゝおのが方 言くにことば彼等かれらかたれるをきゝさわぎあへり
みなおどろあやしみつゝたがひいひけるハ此語このかたものすでガリラヤびとならず
如何いかにして我儕われらおのゝゝうまれしところ方 言くにことば
[千八百四十七] 彼等かれらよりきく
我儕われらパルテアびとメデアびとエラムびとおよびメソポタミアユダヤカパドキア ポント アジア
フルギアパムフリアエジプトまたクレ子ちかリブエなどにすめものまたロマよりきたりをるものあるひユダヤびとおよび其教そのをしへいりひと
十一 またクレテびとアラビヤびとなるに彼等かれら我儕われら方 言くにことばをもてかみおほいなるみわざかたるをきくかと
十二 みなおどろきいぶかりたがひいひけるハいかなるゆゑぞや
十三 あるひあざけりて此人々このひとゞゝあま葡萄酒ぶだうしゅ滿みたされたるものなりといふひとあり
十四 こゝおいペテロ十一人じふいちにんともにたちこゑあげ彼等かれらむかひいひけるハユダヤびとおよびすべエルサレムすめもの爾曹なんぢらよく我言わがことばきゝこれしれ
十五 いまひる九時くじなれバ爾曹なんぢら逆料おもふごとく此人々このひとゞゝゑへものあら
十六 これすなは預言者よげんしゃヨエルよりかたれるところなり
十七 かみいひたまはすゑいたりわれわがみたまをもてすべてひとそゝが爾曹なんぢら子 女むすこむすめ預言よげんすべしまたなんぢらの幼者わかきもの異象まぼろしをみ老 者おいたるものゆめみるべし
十八 そのときわれわがみたま我僕わがしもべなる男 女をとこをんなそゝが彼等かれら亦預言またよげんすべし
十九 われうへなるてん奇跡ふしぎあらはしたなる休徴しるしあらはさんすなはありありけぶりあるべし
二十 しゅおほいなる顯 赫 日いちじるしきひきたらさきくらつきかはら
二一 すべしゅ呼賴よびたのものすくはるべし
二二 イスラエル人々ひとゞゝ此等これらことばきけそれナザレイエス爾曹なんぢらしるごとくかみかれにより爾曹なんぢらしるごとくかみかれにより爾曹なんぢらうちなしたへなる能力ちから奇跡ふしぎ休徴しるしとを爾曹なんぢらあかしたまへところひとなり
二三 此人このひとすなはかみさだめむねあらかじしりたまふところかなひわたさる爾曹なんぢら無法むはふをもてこれとら十字架じふじかつけころせり
二四 かみ其死そのしくるしみときこれよみがへらせたまへりかれつながをるべきものならざれバなり
二五 そはダビデかれついいひけるハわれわがまへしゅつねいますみるその我右わがみぎいます我動わがうごかされざるためなり
二六 是故これゆゑ我心わがこゝろたのし我舌わがしたよろこべりかつわが肉體にくたいのぞみをら
二七 これなんぢ我 魂わがたましひ
[千八百四十八] 陰府よみすておかずまたなんぢの聖者きよきもの朽果くちはてしめざるがゆゑなり
二八 なんぢすでにわれ生命いのちみちしめわれなんぢまへおきよろこびみたしめんと
二九 人々ひとゞゝ兄弟きゃうだいわが始祖しそダビデつきはばかところなく爾曹なんぢらかた是當然これしかるべきことなりかれすでしにはうむられ其墓そのはか今日こんにちいたるまで我儕われらうちにあり
三十 かれ預言者よげんしゃにしてかみこれにちかひたて其血統そのちすぢうちより一人ひとりあげくらゐつかしめんとちかひたまへるをしり
三一 あらかじ此事このことさとるがゆゑキリストよみがへことにつきかたりかれ陰府よみすておかれずまたその肉體にくたい朽果くちはてずといへるなり
三二 すでかみイエスよみがへらせたまへり我儕われらみなその證人あかしびとなり
三三 是故このゆゑかれすでかみみぎあげられ約束やくそく聖靈せいれいちゝよりうけいまなんぢらがみるところきくところのものそゝげ
三四-三五 それダビデてんのぼりしことなししかるにかれみづから言主いふしゅわがしゅいひけるハわれなんぢのてきなんぢ足凳あしだいなすまで我右わがみぎすべしと
三六 されすべイスラエル全家ぜんか爾曹なんぢら十字架じふじかつけこのイエスたてかみこれをしゅとなしキリストとなしたまひしことをたしかしれ
三七 彼等かれらこれをきゝ其 心 刺そのこゝろさゝるゝがごとこゝおいペテロほか使徒しとたちとひけるハ人々ひとゞゝ兄弟きゃうだい我儕われらなになすべき
三八 ペテロ彼等かれらいひけるハ爾曹なんぢらおのゝゝ悔改くいあらためてつみゆるしんがためイエスキリストよりてバプテスマをうけしから爾曹なんぢら聖靈せいれいたまものうくべし
三九 この約束やくそく爾曹なんぢらおよび爾曹なんぢらおよび爾曹なんぢら子孫しそんまたすべて遠人とおきものすなハちしゅたる我儕われらかみめさるゝ人々ひとゞゝつくなり
四十 また多 言おほくのことばをもてあかししてすすめけるハ爾曹なんぢらこのよこしまなるより救出すくひいだされよ
四一 其時そのときこのことば聞納きゝいれものハバプテスマをうけたり此日このひ弟子でしくはゝれるものおほよそ三千人さんぜんにん
四二 彼等かれらつね使徒等しとたち教訓をしへをうけ交接まじはりをなしパンをさくことゝ祈禱いのりとをつと
四三 こゝおい敬畏おそれ人々ひとゞゝこゝろしゃうまた使徒しとたちより許多おほく奇 跡ふしぎなるわざ休徴しるしおこなはれたり
四四 信者しんじゃハみな一 處ひとつところあつまり諸 物すべてのものともにし
四五 産業さんげふ
[千八百四十九] と其所有そのもちものうり各人おのゝゝようしたがこれ分與わけあたへぬ
四六 日々ひびこゝろあはせて殿みやをりまたいへおいてパンをさき歡喜よろこび誠心まごゝろをもてしょくともにし
四七 かみ讃美ほめすべてのたみよろこバるしゅすくハるゝもの日々ひび教會けうくわいくはへたまへり


第三章

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第三時だいさんじ祈禱いのりときあたりペテロヨハ子とも殿みやのぼりしに
一人ひとり生來うまれつきなるあしなへあり殿みやにいるひと施濟ほどこしこはためごとおはれて殿みやうつくしなづくもんおか
かれペテロヨハ子殿みやいらんとするを施濟ほどこしこへ
ペテロヨハ子とも熟々つらゝゝこれいひけるハ我儕われら
かれうることあらんとおもひて彼等かれらつめたり
ペテロいひけるハ金銀きんゞゝわれになしたゞわれにあるものをなんぢあたナザレイエスキリストによりたちあゆ
つひ其右そのみぎとりこれをおこしけれバ其足そのあしくるぶしただちに健勁つよくなりて
躍 立をどりたちかつあゆめりをどりあゆみかみ讃美ほめつゝ彼等かれらとも殿みやいり
衆 民すべてのたみかれのあゆかみほむるを
もとその殿みや美 門うつくしきもん施濟ほどこしこひたりしものなるをしりこのひと所遇ありしことをおほいおどろあやしめり
十一 その跛者あしなへペテロヨハ子にすがりをりあひだたみみなおどろくことはなはだしくソロモンろうなづくところ趨集かけあつまれり
十二 ペテロこれたみこたへけるハイスラエル人々ひとゞゝ何故なにゆゑ此事このことあやしとするや我儕われら自己みづからちからとくをもて此人このひとあゆましゝがごとなん我儕われらつくるや
十三 それアブラハムイサクヤコブかみわが先祖せんぞたちのかみ其僕そのしもべイエスすなは爾曹なんぢらわたしゝものピラトゆるすことをさだめたるときそのまへ爾曹なんぢらこばみところものあがめたまへり
十四 爾曹なんぢら聖 者きよきもの義 者たゞしきものこばひところししものおのれあたへられんこともとめ
十五 かつ生命いのちぬしころせりかみこれよりよみがへらせ我儕われら其證人そのあかしびとなるなり
十六 イエス其名そのなしんずるにより爾曹なんぢらみるところしるところの此人このひと健勁つよくせり如此かくイエス
[千八百五十] によれ信仰しんかう爾曹なんぢらすべてのひとまへおい此人このひとまったいやしたり
十七 兄弟きゃうだいわれしるなんぢらがおこなひことしらざるによりてなり爾曹なんぢら有司等つかさたち亦然またしか
十八 しかれどもかみすべて預言者よげんしゃくちよりキリストくるしみうくることをあらかじしめ其言そのこと如此かくかなハせたまへり
十九 是故これゆゑ爾曹罪なんぢらつみをくいこゝろあらため其罪そのつみけさるることを蓋主そはしゅまへより安舒日やすきひきた
二十 かつあらかじめさだめたまひしイエスキリストおくられんがためなり
二一 かみいにしへより聖預言者きよきよげんしゃくちよりいひたまひし萬物ばんもつ復興あらたまらときまでてんかならかれうけおくべし
二二 モーセ我儕われら先祖せんぞたちにつげいひけるハしゅなる爾曹なんぢらかみ爾曹なんぢら兄弟きゃうだいうちよりわれたる一人ひとり預言者よげんしゃおこさん其爾曹そのなんぢらつぐすべてこときくべし
二三 すべ此預言者このよげんしゃ聽從ききしたがハざるもの
二四 またサムエルより以来このかたかたりしところ預言者よげんしゃみなあらかじめ此日このひさしいへ
二五 それなんぢらハ預言者よげんしゃ子孫しそんなり且神かつかみ我儕われら先祖せんぞたちにたてたまひし契約けいやく承継うけつぐものなりすなはアブラハムつげ諸族しょぞくなんぢすえよりさいはひんといひたまへり
二六 かみすでに其僕そのしもべイエスたてなんぢら各人おのゝゝ其惡そのあくより引返ひきかえさいはひさせんがためまづなんぢらにかれつかはせり

第四章

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彼等かれらたみおしかつイエスことをひきより復 生よみがへりことのぶるにより
祭司さいし殿 司みやもりづかさおよびサドカイのひとたちこゝろなやま其民そのたみかたれるとき突然とつぜんきたりて
親手てづからこれをとらときすでにくれければ明日あくるひまでにひとやいれおけり
され其 道そのことばききものおほくこれをしん其數そのかずおほよそ五千人ごせんにんなり
明日あくるひ有司つかさたちと長老としより學者がくしゃ
およ祭司さいしをさアンナまたカヤパヨハ子アルキサンデル祭司さいしをさすべてやからエルサレムあつま
使徒しとたち其中そのなかたゝせてとひけるハ爾曹何なんぢらなにちからまたなによりこれおこなひしや
其時そのときペテロ聖靈せいれい滿みたされ彼等かれらいひけるハたみ有司つかさおよびイスラエル長老としより
我儕われらもし
[千八百五十一] やみたるひとおこなひし善事よきことにつきこれ如何いかにしていやしゝと今日訊けふたゞされなば
爾曹なんぢらイスラエルたみもみなしるべしそのなんぢらが十字じふじつけしところかみよみがへらせたまひところナザレイエスキリストより此人健勁このひとすこやかなることをなんぢらのまへたちたりと
十一 これすなは爾曹工匠なんぢらいへつくりすてところ石屋いしいへすみ首石おやいしとなれるものなり
十二 このほかべつすくひあることなし蓋天下そはてんかひとうち我儕われら依賴よりたのみすくはるべきほかたまはざれバなり
十三彼等かれらペテロヨハ子忌憚いみはばかところなきをその無学むがく小民いやしきものなるをしれこれあやしみたりまたそのイエスともありしをしる
十四 かついやされたるひと彼等かれらともたてるをみるによりいひけすべきことばなかりき
十五 かく彼等かれらめいじて集議所しふぎしょさらしめのち相 議あひはかりいひけるハ
十六 この二人ふたりなになすべきや彼等かれらすでいちじる[し:落植?!]休徴しるしおこなへることすべエルサレム居者をるものあきらかにしるところなりわれらこれ言滅いひけすことあたは
十七 しかれども此事このことなほひろくたみつたはらざるため彼等かれら恐喝おびやか此後こののちそのついひとかたることなからしめん
十八 つひ彼等かれらよびさらイエスついかたることをしふることをなすなかれといまし
十九 ペテロヨハ子彼等かれらこたへいひけるハかみきくよりもまさり爾曹なんぢらきかかみまへありたらんか爾曹なんぢらみづからこれさだめ
二十 われらしところきゝところのものハいはざるをざるなり
二一 人々ひとゞゝその所 爲ありしところよりかみあがめたれバ彼等かれらたみおそ此二人このふたりつみするによしなくさらこれ恐喝おびやかしてゆるせり
二二 そのふしぎなるわざよりいやされたるひと四十歳餘しじっさいあまりなりき


二三 かれらゆるされて其友そのとももとにゆき祭司さいしをさ長老としよりいひしことをことゞゝつぐ
二四 そのともこれをきゝこゝろあはかみむかこゑあげいひけるハしゅなんぢてんうみ其中そのなか萬 物あらゆるものつくりたまひしかみなり
二五 なんぢかつ其僕そのしもべダビデくちより何故なにゆゑ異邦人いはうじん喧嘩さわだちもろゝゝのたみ徒事むなしきことはか
二六 王等わうたちおこり群伯つかさたちともあつましゅおよび
[千八百五十二] そのキリストさからふといへ
二七 それまことヘロデポンテヲピラト異邦人いはうじんおよびイスラエル民相共たみあひとも此城このまちあつまなんぢあぶらそゝぎたる聖 僕きよきしもべイエスさからへり
二八 これなんぢなんぢのむねにてあらかじめさだたまひしこと彼等かれらなせるなり
二九 三十 しゅいまかれらの恐喝おびやかしたまへねがはくハなんぢのべほどこなんぢ聖 僕きよきしもべイエスより休徴しるし奇 跡ふしぎなるわざおこなハしめなんぢ僕等しもべどもおくすることなくなんぢことばのぶることをさせよ
三一 かれら祈禱きとうおへときそのあつまれるところ震動ふるいうごきみな聖靈せいれい滿みたされておくするところなくかみことばのぶ
三二 信者しんじゃハみなこゝろいつにしおもひいつにして誰一人だれひとりその所有もちものおのものいふことなくすべこれとももて
三三 使徒しとたちおほいなるちからをもてしゅイエスよみがへりしことあか彼等かれらみなおほいなるめぐみかうむれり
三四 其中そのうち一人ひとり窮乏者ともしきものなかりき蓋地所そはじしょあるひハいへもてものそれうり其售そのうりところあたひ挈來もちきた
三五 使徒等しとたち足下あしもとおくこれを各々おのゝゝようしたがひて分予わけあたへしがゆゑなり
三六 レビやからにてクプロうまれヨセフ使徒等しとたちよばれてバルナバいはこれとけ勸慰なぐさめ
三七 この人田疇ひとたはたありけるがそれうりてそのきん挈來もちきた使徒等しとたち足下あしもとおけ

第五章

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しかるにアナニアといふひとそのつまサッピラとも産業さんげふうり
そのあたひ幾分いくぶんかくのこり幾分いくぶん挈來もちきたりて使徒等しとたち足下あしもとおき其妻そのつまこれしれ
ペテロいひけるはアナニア何故なにゆゑなんぢこゝろサタン滿みたされ聖靈せいれいむかひいつはり地所ぢしょあたひ幾分いくぶんかくことをせし
地所ぢしょいまだうらざるときなんぢものものならずやすでうりたりともまたなんぢのけんつけるならずや何故なにゆゑなんぢこゝろこのこと發念くはだてしや爾人なんぢひとむかひいつはるにあらかみむかひいつわれるなり
アナニア此事このことをきゝたふれ氣絶之いきたゆこれ聞者きくものみなおほいおそ
少者わかきものどもたちかれつゝ舁出かきいだしてはうむれり
おほよ三時みときばかりすぎそのつまいまだ此 所 遇このありしことしらずして入來いりきたれり
ペテロかれいひけるは爾曹なんぢらこのあたひ地所ぢしょうりしやわれつげこたへいひけるはしか其價そのあたひなり
ペテロかれいひけるは爾曹心なんぢらこゝろあはせてしゅれいこゝろむるはなんぞやなんぢおっとはうむりしもの足門外あしとのそとありまたなんぢをも舁出かきいださん
婦直をんなたゞち其足下そのあしもとたふれいきたゆ少者わかきものども入來いりきたり其死そのしにたるをこれをも舁出かきいだして其夫そのおっとかたはらはうむれり
十一 全會ぜんくわいものとこれをきけものども皆大みなおほいおそ
十二 おほく休徴しるしふしぎなるわざ使徒しとたちよりたみうちおこなハれたりまたかれら皆心みなこゝろあはせてソロモンらうをる
十三 ほかものあへこれちかづかざりきしかれどもたみ彼等かれらたふと
十四 男女なんにょともしんずるものますゝゝおほしゅつき
十五 かく人々病ひとゞゝやめものたづさへちまたにいで寢牀ねだいまたとこうへおけそはペテロきたらんときそのかげおほはるるものあらんかとおもへバなり
十六 また許多おほく人々ひとゞゝ四方よも諸邑むらゝゝよりやめものおよび惡鬼あくきなやまされたるものたづさへエルサレムきたことゞゝいやされたり
十七 しかるに祭司さいしをさおよびかれともにある者即ものすなはちサドカイしゅうともがらみなたちおほいいきどほ
十八 使徒しとたちとらへひとやおけ
十九 されどもしゅ使者夜獄つかひよるひとやひら彼等かれらたづさいだしていひけるハ
二十 ゆき殿みやたちこの生命いのちことばことゞゝたみかた
二一 かれらこれをきゝ昧爽よあけがたより殿みやいりをし祭司さいしをさおよび同 人ともにあるものどもきたり議員ぎいんおよびイスラエル子孫しそん長老等としよりたちことゞゝ召集よびあつめ彼等かれら曳來ひききたらせんがため下吏したやくひとやつかはせり
二二 その人等ひとたちきたりしにひとやうち彼等かれらかえりつげいひけるハ
二三 ひとやかたくとぢ守者まもるものそとたてるを我儕われらしにひらけバうち一人ひとりをもざりき
二四 祭司殿守さいしみやもりおよび祭司さいしをさたち此言このことばきゝ如何いか成行なりゆくべきかと彼等かれらつき心惑こゝろまどへり
二五 或人來あるひときた彼等かれらつげけるハ爾曹なんぢらひとやおきもの今殿いまみやたちたみをし
二六 これおい殿守みやもり下吏等したやくたちともゆきかれらを曳來ひきゝたれりされ強暴てあらきことをざりき蓋石そはいしにてたみうたれんことおそれしがゆゑなり
二七 すで
[千八百五十四] 曳來ひききたりて彼等かれら議員ぎゐんまへたゝ祭司さいしをさこれにとふいひけるハ
二八 我儕われらこのよりをしふなかれと爾曹なんぢらきびしきんぜしにあらずしかるに爾曹なんぢら其教そのをしへエルサレム滿みたまたこのひと我儕われらおはしめんとす
二九 ペテロ使徒しとたちこたへいひけるハひとしたがふよりかみしたがふハなすべきのことなり
三十 我儕われら先祖せんぞかみ爾曹なんぢらかけころしゝところイエスよみがへらせたまへり
三一 かみこれきみとし救主すくいぬしとして其右そのみぎかたあぐこれイスラエル悔改くいあらためつみゆるしあたへんがためなり
三二 我儕われら此事このことあかし爲者なすものなりかみおのれにしたがものたまところ聖靈せいれい亦證またあかし


三三 かの人々ひとゞゝこれをきゝはなはだしくいかりふく彼等かれらころさんとはか
三四 パリサイのひとにて衆民たみうちたふとバるゝ教法師けうはふしガマリエルいへ者議員ものぎいんなかにたちめいじて使徒しとたちしばらそといださしめ
三五 いひけるハイスラエル人々ひとゞゝ爾曹なんぢらこの人等ひとたちにつきてなさんとすることみづかつゝしむべし
三六 そハさきチウダおこりみづかほこれりこれしたがへるものおほよそ四百人しひゃくにんありしがかれころされしたがひしものみなちらされてあとなきにいた
三七 此人このひとのちまた戸籍調査こせきしらべときガリラヤユダおこりたみいざなしたがハしゝがかれほろそれしたがひしものことゞゝちらされたれバなり
三八 いまわれ爾曹なんぢらかたらん此人々このひとゞゝゆるしかゝはなかもしそのはかるところおこなふところひとよりいでかならほろぶべし
三九 もしかみよりいで爾曹なんぢらかれらをほろぼすことあたはおそらくハ爾曹神なんぢらかみさからふものとならん
四十 彼等かれらこれにしたが使徒しとたちよびむちうイエスよりかたることをなすなかれとめいじてこれゆるせり
四一 使徒しとたちイエスためはづかしめうくるに足者たるものとせられしことよろこびて議員ぎゐんまへさり
四二 日々ひゞ殿みやおよびひといへおいをしへをなしイエス キリスト福音ふくいんつたへやめざりき


第六章

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當時そのころ弟子でしたちのかずおほくくはゝギリシャ方言ことばユダヤびとその嫠等やもめたち日々ひゞ施濟ほどこし遺漏みおと
[千八百五十五] れしをヘブル方言ことばユダヤびとにむかひ怨言つぶやきことありけれバ
十二じふににんもの弟子でしたち召集よびあつめいひけるハ我儕われらかみことばすて飲食いんしょくことつかふるハこゝろかなは
是故このゆゑ兄弟きゃうだい爾曹なんぢらうちより聖靈せいれい智慧ちゑ滿みちたる善證よきあかしある者七人ものしちにんえらぶべし我儕われらそれをたて此事このことつかさどらせん
しかして我儕われらつねいのることゝみちつたふることをつとむべし
此言このことばすべてのものこゝろかなひけれバ信仰しんこう聖靈せいれい滿みちたるステパノおよびピリポプロコロニカノルテモンパルメナまたユダヤけういりアンテオケニコラえら
この人々ひとゞゝ使徒しとたちまへたゝしむ使徒しとたちいのり其上そのうへおけ


かみみちいよゝゝ傳播ひろまり弟子でしたちかずエルサレムはなはだしくまさ祭司さいしおほ信仰しんかうみちしたがへり


ステパノめぐみ能力ちから滿みちふしぎなるわざおほいなる休徴しるしたみうちおこなへり
ときにリベルテンととなふ會堂くわいだうおよびクレ子びとアレキサンデリアびとキリキヤびとアジアびと諸會堂しょくわいだうより人々起ひとゞゝたちステパノ言爭いひあらそ
彼等かれらステパノ智慧ちえこれよりいふところのみたまてきすることあたは
十一 つひひとをして誣告いつはりいはしめけるハ我儕われらかれがことばきゝしにモーセかみ謗讟けがしたり
十二 かれらたみ長老學者としよりがくしゃたちのこゝろうごかさせ突然とつぜんきたりてかれとら集議所しふぎしょ曳來ひききた
十三 いつはり證人あかしびとたていはせけるハ此人このひと聖 所きよきところ律法おきて謗讟けがすことをかたりやめ
十四 そはかれかたりこのナザレイエス此所このところこぼかつモーセ我儕われらさづけところれい易可かふべしいへるを我儕われらきゝたればなり
十五 こゝおい集議所しふぎしょせる者皆目ものみなめとめかれしに其 面 天 使そのかほてんのつかひかほごとくなりき


第七章

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さて祭司さいしをさいひけるハ此事このことかくのごとくなる
ステパノいひけるハひとゞゝ兄弟きゃうだいおよび父等ちゝたちきけわれらの先祖せんぞアブラハムいまカランすまざるさきメソポタミヤありしとき榮光えいくわうかみあらハれて
かれいひたまひけるハなんぢくにいでなんぢの親族しんぞくはなれわがなんぢにしめさんところいた

[千八百五十六] かくアブラハムカルデヤびといでカランすめ其父そのちゝしにしのちかみかれ彼處かしこよりいまなんぢがすむところの此地このちうつたまへり
此地このちおいてあし踏立ふみたつるほどのをもあたへかつかれハいまあらざりしに此地このち産業さんげふとしてかれ其子孫そのしそんあたへんと約束やくそくたまへり
神如此かみかくいひたまへりかれすえほかくにやどらんほかくに人々ひとゞゝこれを奴隷どれいなし四百年しひゃくねんあいだなやまさん
かみまたいはくかれらを奴隷どれいとする國民くにびと我鞫われさばくべし厥後そのゝちかれら其國そのくにいでこのところおいわれつかへんと
またかれ割禮かつれい契約けいやくあたたまへりかくアブラハムイサクをうみ八日目やうかめ割禮かつれいこれおこなイサクヤコブうみヤコブ十二じふに始祖しそうむ
始祖しそたちヨセフねたみこれをエジプトうれされかみかれともともにあり
すべて患難くわんなんうちよりこれ救出すくひいだエジプトわうパロまへおい恩寵めぐみ智慧ちゑとをあたへエジプトおよびパロ全家ぜんかつかさどらせたま
十一 こゝエジプトカナンすべて餓饉きゝんおほいなるなやみあり我儕われら先祖せんぞたちも食物しょくもつうることをざりき
十二 しかるにヤコブエジプト穀物こくもつあることきゝまづわれらの先祖せんぞたちをつかは
十三 ふたゝつかはしゝときヨセフその兄弟きゃうだいしらかつヨセフ親族しんぞくパロあきらかになれり
十四 ヨセフひとつかはして其父そのちゝおよびすべて家族かぞく七十五人しちじゅうごにん召來よびきたらしむ
十五 こゝおいヤコブエジプトくだれりかれ我儕われら先祖せんぞたちのしにたるのち
十六 スケムおくらアブラハムかねをもてスケムちゝなるエンモル子孫しそんよりかひおきしはかはうむられたり
十七 かみアブラハムしめたまへる約束やくそくときちかづくにしたがひて民 蕃 衍たみふえひろがりてエジプトおほくなれり
十八 ヨセフことしらざるほか王起わうおこるにいたりて
十九 かれあしき謀計はかりごとをもて我儕われら親族しんぞくあしら我儕われら先祖せんぞたちを困苦なやま其嬰孩そのおさなご活残いきのこらざるやうこれすてさせんとせり
二十 其時そのときモーセうまれ甚美いとうるはしく三ヶ月さん げつのあひだちゝいへそだてられ
二一 すてられしのちパロむすめこれをひろひあげおのれ
[千八百五十七] してそだてたり
二二 モーセことゞゝエジプトびと學術がくじゅつをしへられことばわざとに才能ちからあり
二三 四十歳しじっさいおよび其兄弟そのきゃうだいなるイスラエル子孫しそんかへりみるの心起こゝろおこれり
二四 一人ひとり寃抑しひたげらるゝものこれ保護まもりエジプトびとうち其仇そのあだむくいたり
二五 モーセ我手わがてをもてかみ彼等かれらすくはんとしたまこと其兄弟悟そのきゃうだいさとるならんとおもひしかど彼等かれらさとらざりき
二六 次日あくるひかれら相鬪あひたゝかふことありければこれあらはれてやはらいひけるは人々ひとゞゝ爾曹兄弟なんぢらきゃうだいなるに何故相害なにゆゑあひそこなふや
二七 其友そのともそこなものものかれを拒却おしのけいひけるはなんぢたて我儕われら有司つかさまた刑官さばきびとなししや
二八 なんぢ昨日きのふエジプトびところしゝごとくまたわれをもころさんとする
二九 モーセ此言このことばによりのがれミデアン旅人たびゞととなり彼處かしこおい二人ふたりうめ
三十 すで四十年しゞふねんすぎときシナイやまおいしゅ使者棘つかひしばなか火焔ほのほうちにてモーセあらは
三一 モーセこれあやし諦視みとめんとしてちかよれるときしゅこゑありいは
三二 われなんぢ列祖せんぞたちかみすなはちアブラハムかみイサクかみヤコブかみなりモーセ畏怖おそれおのゝあへ諦視みとめざりき
三三 しゅまたかれ曰給いひたまひけるはなんぢあしくつぬげなんぢがたてところ聖 地きよきちなり
三四 われすでにエジプトあるわがたみ苦難なやみかつ其嘆息そのなげききゝこれをすくはんがためくだれりきたわれなんぢをエジプトつかはさんと
三五 それかれらがこばみなんぢたて有司つかさまた刑官さばきびとなしいひこのモーセかみ棘中しばのなかあらはれし使者つかひより有司つかさまた救人すくひびととしてつかはたまへり
三六 このひとエジプトおよび紅海こうかいまた四十年しじふねん間野あひだのおい奇 跡ふしぎなるわざ休徴しるしおこなひて彼等かれらみちびいだせり
三七 イスラエル子孫しそんかたりかみ爾曹なんぢら兄弟きゃうだいうちよりわがごとき一人ひとり預言者よげんしゃ爾曹なんぢらためおこたまべしいひしはすなはこのモーセなり
三八 かれあつまりありシナイやまにておのれかたれるところ天使つかひまた我儕われら先祖等せんぞたちともあり我儕われらさづけんがいけことばうけものなり
三九 此人このひと我儕われら先祖せんぞたちハしたが
[千八百五十八] ことをこのまかへっこれしりぞ其心そのこゝろすでにエジプトかへ
四十 アロンいひけるハ我儕われらさきだつべきかみ我儕われらためつくそはわれらをエジプトよりみちびいだしゝかれモーセ如何いかになりしかしらざれバなり
四一 厥時そのときかれらこうしつくりそのざう犧牲いけにへささおのれ所作わざよろこべり
四二 こゝおいかみ彼等かれらかへりみずして其天そのてん軍勢ぐんぜいまつるにまかたまへりすなは預言者よげんしゃふみイスラエルやから爾曹なんぢら四十年しじふねんのあひだおい犧牲いけにへ祭物そなへものわれさゝげしや
四三 また爾曹なんぢらモロク幕屋まくやおよびレパンといふかみかたどれるほしすなハち爾曹なんぢらはいするためつくれるところざうたづさへたりわれなんぢらをバビロンさきうつさんとしるされたるごと
四四 我儕われら先祖せんぞたちハにてあかし幕屋まくやもてモーセかたれるものかれにむかひすでところのりしたがひてつくれとめいぜしごとつくれるものなり
四五 我儕われら先祖せんぞたち此幕屋このまくやうけヨシュアとも異邦人いはうじん攻取せめとりときこれを携入たづさへいれ此異邦人このいはうじんダビデときまでに我儕われら先祖せんぞたちのまへよりかみ逐驅おいはらたまところものなり
四六 ダビデかみまへめぐみうけヤコブかみため居所すみかまうけんとねがひたれど
四七 ソロモンかみため殿みやたてたり
四八 しかれども至上いとたかかみにてつくれるところたまハず蓋預言者そはよげんしゃいへごと
四九 すなはしゅいひたまはてん我座位わがくらゐなり我足凳わがあしだいなり爾曹我なんぢらわがために如何いかなるいへたてんとするまたわがやすところ何處いづこなる
五十 此凡このすべてものつくらざりし
五一 強項かたくなにしてこゝろみゝ割禮かつれいうけざるもの爾曹常なんぢらつね聖靈せいれいさから其先祖そのせんぞたちのごと爾曹なんぢらなすなり
五二 爾曹なんぢら先祖等せんぞたちいづれ預言者よげんしゃをか窘迫なやまさざりし彼等かれら義 者たゞしきものきたらんことをあらかじかたりものころ爾曹なんぢらいまその義 者たゞしきものわたかつこれをころものとなれり
五三 爾曹なんぢらてん使者つかひより律法おきてうけなほこれまもらざるなり


五四 衆人ひとゞゝこれらのこときゝおほいいきどほ切齒はがみしつゝステパノむかへり
五五 しかるにステパノ聖靈せいれい滿みたされてん
[千八百五十九] をあふぎかみ榮光えいくわう其右そのみぎイエスたてるをいひけるハ
五六 我天われてんひらけてかみみぎひとたてるをみる
五七 こゝおい彼等大かれらおほいよばはみゝおほこゝろあはせステパノもとかけより
五八 かれまちより逐出おいいだいしをもてこれをうつ證人等あかしびとらおのゝゝ其衣服そのうはぎサウロいへ少年わかもの足下あしもとおけ
五九 彼等かれらいしステパノうてときかれいのいひけるハしゅイエス我靈魂わがたましひうけたまへ
六十 またひざまづ大聲おほごゑよびいひけるハしゅ此罪このつみ彼等かれらおはしむるなか此言このことをいひをはりねむりつくサウロかれころされしをよしとせり

第八章

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此日このひエルサレムあるところの教會けうくわいおほい窘迫せむることおこ使徒等しとたちほかみなユダヤサマリアちらされたり
敬虔つゝしみある人々ひとゞゝステパノはうむこれためおほいなる哭泣なげきをなせり
サウロ教會けうくわい殘害あらして此處こゝ彼處かしこいへにいり男女をとこをんな曳出ひきいだしてこれひとやわたせり
こゝおいちらされたるものどもあまねゆき福音ふくいん宣傳のべつたへたり
ピリポサマリアまちくだりキリストこと彼等かれらしめ
おほく人々ひとゞゝピリポおこなへるふしぎなるわざ見聞みきゝしてこゝろおなじうしつゝしみ其語そのかたれることきけ
そハけがれたる鬼大おにおほい喊叫さけび其憑そのつけところおほくひとよりいでまた癱瘋ちゅうぶおよび跛者あしなへひとおほいやされたれバなり
これより此邑このまちおほいなるよろこびありき
こゝシモンいへ素魔術もとまじゅつおこなみづかおほいなるものとしてサマリアたみおどろかしゝものあり
せうよりだいいたるまで皆謹みなつゝしみかれきゝこのひとかみおほいなるちからなりといへ
十一 彼等かれらつゝしみこれきけるハ其魔術そのまじゅつおどろかされたるがゆゑなり
十二 しかれども彼等かれらかみくにおよびイエスキリストにつきて福音ふくいんのぶピリポしんぜしかバ男 女をとこをんなともバプテスマをうく
十三 シモン亦信またしんじてバプテスマをうけつねピリポともありかれおこなところふしぎなるわざ休徴しるしおどろけり
十四 エルサレムにをる使徒等しとたちサマリアすでかみことばうけたりときゝペテロヨハ子彼處かしこつかは
十五 この二人ふたりもの
[千八百六十] だりて彼等かれら聖靈せいれいうけためためにいのれり
十六 そはかれら唯主たゞしゅイエスいれられバプテスマをうけのみにていま其一人そのひとりにも聖靈下せいれいくだらざりしによる
十七 この時二人ときふたり者手ものて彼等かれらうへおきけれバ彼等かれら聖靈せいれいうけたり
十八 使徒しとたちのおけるにより聖靈せいれいあたへられしをシモンかね携來もちきた彼等かれらいひけるハ
十九 我手わがておくところのものすべ聖靈せいれいうけため此權このちからわれにもあたへ
二十 ペテロかれいひけるハなんぢかねなんぢともほろびなんぢかみたまものかねにてんとおもへ
二一 なんぢこのことおいわかちなくまたあづかりなしそはなんぢの心神こゝろかみまへたゞしからず
二二 ゆゑなんぢこのあく悔改くいあらためてかみいのなんぢこゝろおもひあるひゆるされん
二三 我爾われなんぢたんにがきにをり不義ふぎつなぎをるればなり
二四 シモンこたへいひけるハ爾曹なんぢらかたれるところひとつわれおよばざるやう我爲わがためしゅいの
二五 かれらしゅことばあかしかつこれをかたりのちエルサレム返往かへりゆくときサマリアびと諸邑むらゝゝ福音ふくいんつたへたり


二六 しゅ使者つかひピリポかたりていひけるハたちみなみかたむかエルサレムよりガザくだところみちゆけそのみちなり
二七 かれたちゆけエテオピアびとすなハちエテオピアびと女王じょわうカンダケ大臣だいじんなる寺人じじんにてすべ其女王そのじょわう財寶たからつかさど者禮拜ものをがみためエルサレムきたり
二八 そのかへりなるがくるまうち預言者よげんしゃイザヤふみよみをれり
二九 みたまピリポいひけるハゆき此車このくるまつけ
三十 ピリポはしりよりてかれ預言者よげんしゃイザヤふみよむきゝこれにいひけるハなんぢそのよむところのことさとるや
三一 かれいひけるハもしわれをみちびものなくば如何いかさとることをんやつひこふピリポおのれともせしむ
三二 其讀そのよみをりし聖書せいしょぶんごとかれひつじ賭塲ほふりばひかるゝごとひか又羔またこひつじ其毛そのけ剪者きるものまへにてこゑいださぬがごと其口そのくちひらか
三三 かれ卑賤いやしきをりしとき義 判たゞしきさばきうばはれたりたれよくそのさま述得のべえんやそはかれの生命地いのちちよりとられたればなり
三四 寺人じじんピリポむかひいひけるハこふわれ
[千八百六十一] にしめ預言者よげんしゃたれさしこれかたりしや自己みづからさししか他人ほかのひとさししか
三五 ピリポくちをひらき此錄このしるされたるところもとづきてイエス福音ふくいんかれ宣傳のべつた
三六 かく二人ふたり者路ものみちをゆきみづあるところいたりければ寺人じじんいひけるハみづわれバプテスマをうけんとすなにさはりある
三七 ピリポいひけるはなんぢもし全 心まったきこゝろをもてしんぜばよからんかれこたへていひけるはわれイエスキリストかみなりとしん
三八 つひめいじてくるまとゞめしめピリポ寺人じじん二人水ふたりみづくだピリポバプテスマをかれほどこせり
三九 かれらみづよりあがれるときしゅみたまピリポ引去ひきさ寺人じじんまたかれみることをざりき寺人喜じじんよろこびて其路そのみちゆけ
四十 さてアシドドにてピリポあへものありかれすべての邑郷むらざと福音ふくいん宣傳のべつたカイザリヤいたれり


第九章

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サウロなほ兇言おどし殺気さっきはきしゅ弟子等でしたちをせめ祭司さいしをさゆき
ダマスコ諸會堂しょくわいだうよすふみもとかれ此道このみちしたがへるもの男女なんにょにかゝはらずとらへこれエルサレムひかんとおもへ
かれゆきてダマスコちかづけるときたちまてんよりひかりありてかれ環照めぐりてらせり
かれたふ其時そのときサウロサウロなにゆゑわれ窘迫せむるやといふこゑきけ
サウロいひけるはしゅなんぢたれしゅいひたまひけるはわれハなんぢが窘迫せむるところのイエスなり爾荊なんぢとげあるむちけるかた
彼戰かれおのゝおどろきていひけるはしゅわれなになさしめんと爲給したまふやしゅかれにいひけるはおきまちいれさらば爾行なんぢなすべきことしめさるべし
かれともゆけ人々ひとゞゝものいふことあたはずして立止たちどま其聲そのこゑきけどもたれをもざりき
サウロよりおきひらきたるになにみえざりければともなへる人等ひとたちそのひきダマスコいり
かれ三日みっかあいだみえず又飮食またのみくひをもざりき
かくダマスコアナニアいへ一人ひとり弟子でしあり主 幻しゅまぼろし如 彼ごとくかれ曰給いひたまひけるはアナニアこたへけるはしゅわれこゝあり
十一 しゅいひたまひけるはたちすぐいへちまたゆきユダいへ
[千八百六十二] いたりタルソひとサウロといふものたづねかれいのりをり
十二 かつアナニアといふひときたりてみることをさせんがため其上そのうへおきしとまぼろしたればなり
十三 アナニアこたへけるはしゅわれこのひとにつきておほくひとかたるをきゝしにかれエルサレムにてなんぢ聖徒せいとくるしめしこと如何いかばかりぞ
十四 かつこのところにてもかれすべなんぢ龥者よぶものとらへんとて祭司さいしをさよりうけたる權威けんゐもて
十五 しゅいひたまひけるはゆけかれ異邦人いはうじんおよびわうイスラエル子孫しそんまへ我名わがなになはしめんため我選わがえらびうつはなり
十六 かれ我名わがなため如何いかばかりの苦難くるしみうくるかわれこれをかれしめさん
十七 こゝおいアナニアゆき其家そのいへにいりかれうへおきいひけるは兄弟きゃうだいサウロなんぢきたれるみちにてあらはれしところしゅイエスなんぢふたゝみることをかつ聖靈せいれい滿みたされんためわれつかはせり
十八 たちまかれよりうろこごときものおちふたゝみることをすなはちたちてバプテスマをうく
十九 かれすでにしょくして強 健ちからづきたりかくサウロ數日すじつあひだダマスコにある弟子等でしたちまじは
二十 たゞち會堂くわいだうおいイエスことのべすなはこれかみなりといふ
二一 聞者きくものみな駭異おどろきいひけるハ此人このひとエルサレムおい此名このな龥者よぶもの殘害ほろぼかつこゝにきたりしもこれとらへ祭司さいしをさひかんとするにあらずや
二二 しかれどもサウロ益堅固ますゝゝつよくしてこのイエスキリストなりとあかしをなしダマスコにをるところユダヤひと辯折いひふせたり
二三 すでおほくのちユダヤひとサウロころさんとはかりしが
二四 その計謀はかりごとつひにサウロしら彼等かれらひるまちもんまもりこれころさんとせしに
二五 夜弟子よるでしたちかごをもてサウロ石牆いしがきより縋下つりおろせり
二六 サウロエルサレムいたり弟子でしたちにつらならんとたりしにみなかれが弟子でしたることをしんぜずしてこれおそ
二七 バルナバかれをひき使徒しとたちのもといた其途中そのみちにてしゅしこと又主またしゅかれかたたまひしことおよびダマスコありはゞからずイエスよりかたり
[千六百六十三] しことをつげたり
二八 かれエルサレムあり弟子でしたちととも往来ゆきゝ
二九 しゅイエスよりはゞからずかたりかつギリシャ方言ことばユダヤびと辯論いひあらそへり彼等かれらサウロころさんとはか
三十 され兄弟きゃうだいたちこれさとかれカイザリヤまでおくりタルソゆかしめたり
三一 こゝおいユダヤガリラヤおよびサマリヤぢゅう教會けうくわい平安おだやか且成立かつなりたちしゅおそことおこな聖靈せいれいすゝめより其數そのかずいやまされり


三二 さてペテロあまね諸方しょほうルッダすめ聖徒せいともといた
三三 そのところにて一人ひとり癱瘋ちゅうぶわづら八年はちねんのあひだとこつけアイ子アなづくものあふ
三四 ペテロかれいひけるハアイ子アイエス キリストなんぢいやおきなんぢみづからとこおさめかれたゞちにおく
三五 ルッダおよびサロンすめすべてひとこれをしゅせり


三六 ヨッパタビタなづくとけドルカスかれおほく善事よきこと施濟ほどこしおこなへるものなりしが
三七 そのころやみしにたるにより其 屍そのしかばねあらひたかどのおけ
三八 ヨッパルツダちかゆゑ弟子でしたちペテロ彼處かしこあることをきゝ二人ふたりものつかはして我儕われらくることをおそくするなかれとこはしむ
三九 ペテロたち彼等かれらともにゆきすでいたりけれバ人々ひとゞゝかれをひきたかどののぼすべて寡婦やもめたちペテロかたはらたち哭泣なげきつゝドルカスともありしときつねつくれるところ上衣うはぎ下衣したぎかれ
四十 ペテロ彼等かれらことゞゝそといだひざまづきていの又 屍またしかばねむかひタビタおきよといひけれバかの婦眼をんなめひらペテロおきてしぬ
四一 ペテロのべこれおこ聖徒せいとおよび寡婦等やもめたちよび此活このいきたるタビタ其前そのまへたゝしめたり
四二 此事このことヨッパぢゅうにしれおほく人々主ひとゞゝしゅしん
四三 かくペテロひさしヨッパとゞまりて皮工かはなめしシモンいへをれ


第十章

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カイザリヤにイタリヤたいとなふくみ百夫ひゃくにんかしらにてコル子リヲいへひとあり
かれ信心しんじんふかものにて其擧そのすべて家族かぞくともかみうやまたみおほく施濟ほどこしをなしつねかみ祈禱いのりせり
ひる三時さんじ
[千六百六十四] ろまぼろしごとかみ使者つかひきたりてコル子リヲよといへるをあきらかにみる
かれとめこれを懼 曰おそれいひけるハしゅ何事なにごとなるや天使つかひかれにいひけるハなんぢ祈禱いのりなんぢの施濟ほどこしすでにのぼりかみまへ記置とめおかれたり
いまひとヨッパつかはペテロいふシモンよべ
かれ皮工かはなめしシモンところやどれり其家そのいへ海濱うみべあり
コル子リヲかたれる天使つかひさりしのちかれ其僕二人そのしもべふたりつねおのれつかふ信心しんじんふか兵卒へいそつよび

此事このことくはしつげヨッパつかハす


彼等かれらゆきて次日つきのひそのまちちかづけるときペテロ祈禱いのりのため屋上やねのぼれりときおほよ十二時じふにじなりし
いたうゑしょくせんとおもひしがひと食物しょくもつとゝのふうち彼氣かれきうしなへる心地こゝちして
十一 てんひらけ器 物うつはものくだれるをおほいなるぬのごと四角よすみむすび縋下つりおろされたり
十二 其中そのなかすべ四足よつあし獸 昆 蟲けものはふものおよびそらとりあり
十三 かつこゑありてかれいひけるハペテロたちこれころしょくせよ
十四 ペテロこたへけるハしゅよからじわれいまだけがれたるものきよからざるものしょくせしことなし
十五 こゑふたゝびありかれいひけるハかみきよめたるもの爾潔なんぢきよからずとするなかれ
十六 かくごときこと三次みたびたゝちに其 器 物そのうつはもの てんあげられたり


十七 かくペテロ其見そのみところ異象まぼろし如何いかなるこゝろならんとうたがをりときコル子リヲよりつかはされたる人等ひとたちすでにシモンいへたづねもんまへたち
十八 よびペテロいふシモンこゝやどれるやいなとふ
十九 ペテロなほその異象まぼろしことおもひをりしにみたまかれにいひけるハ三人さんにんものなんぢをたづ
二十 たちくだうたがハずして彼等かれらともにゆけわれこれをつかはしゝなり
二一 ペテロくだ其人そのひとたちにいひけるハわれ爾曹なんぢらたづぬところものなり爾曹なんぢら如何いかなるゆゑありてきたるや
二二 彼等かれらいひけるハ百夫ひゃくにんかしらなるコル子リヲいへたゞしくかつかみうやますべてユダヤびとうちたふとまるゝものなんぢを其家そのいへよびなんぢことばきけ聖 使きよきつかひしめされたり
二三 こゝおいペテロ彼等かれら召入よびいれやどらしめ次日つぎのひペテロ彼等かれらとも
[千八百六十五] 出立いでたちけるがヨッパ兄弟きゃうだいたちもまたかれにともなへり
二四 次日つぎのひかれらカイザリヤコル子リヲすで其親族そのしんぞくおよびしたし友等ともだち召集よびあつめこれ待居まちゐたり
二五 ペテロ入來いりきたれるときコル子リヲかれむか其 足 元そのあしもとふしをがめ
二六 ペテロこれ扶起ひきおこいひけるハたてわれひとなり
二七 かくともかたりつゝうちいりおほくひとあつまれるを
二八 彼等かれらいひけるハユダヤびと異邦人いはうじんまじは又近またちかづことおきてかなはざるハ爾曹なんぢらしるところなりされどかみいづれひとをもけがれたるものといふなかれわれしめたまへり
二九 是故このゆゑ我請われむかへらるゝやたゞち猶豫ためらはずしてきたわれなんぢらにとふわれをむかへしはなにためなる
三十 コル子リヲいひけるハ四日よっかさき我 斷 食われだんじきして此 時 刻このじこくいたれり三時さんじごろいへあり祈禱いのりをりしにかゞやけるころもたるものわがまへたち
三一 いひけるはコル子リヲなんぢ祈禱いのりきかなんぢ施濟ほどこしかみまへ記置とめおかれたり
三二 されひとヨッパつかはペテロいふシモンよべかれは海邊うみべにある皮 工かはなめしシモンいへやどれりかれきたりてなんぢかたるべしと
三三 是故このゆゑわれたゞちにひとなんぢつかはせりなんぢきたれるはよしわれらかみなんぢめいたまへる一切すべてこときかんとて今 神いまかみまへあるなり


三四 ペテロくちひらきいひけるはわれまことにかみかたよらざるものにして
三五 いづれ國民くにびとにてもかみうやまたゞしきおこなもの其聖旨そのみこゝろかなふいふことをさと
三六
そのみちすなはかみイエスキリストより平和やはらぎのべイスラエル子孫しそんあたへたまひしところなりこのイエス萬 物よろづのものしゅたるなり
三七 それヨハ子のべしバプテスマののちガリラヤよりはじまユダヤぢゅうありこと爾曹なんぢらしるところ
三八 すなはこのナザレよりいでたるイエスかみ聖靈せいれい才能ちからあぶらそゝがれ周 遊あまねくめぐり善事よきことおこなすべ惡魔あくまつかれたるものいやせり蓋神そはかみかれとともなりしによる
三九 我儕われらかれユダヤびとおよびエルサレムおいおこなひしすべてことあかしするものなりユダヤびと此人このひとかけころ
[千八百六十六] せり
四十 かみ第三日みっかめこれよみがへらせすべてたみにはあらはさで
四一 たゞそのあらかじえらびたまへる證人あかしびとすなはちかれよみがへりしのちこれととも飮食のみくひせし我儕われらにのみあらはたまへり
四二 かつかれ其生者そのいけるもの死者しねるもの審判人さばきびとかみよりさだめられしこと我儕われらあかししてたみのべよとめいじたり
四三 すべて預言者よげんしゃおほよかれしんずるもの其名そのなよりつみゆるしうくべしとかれにつきてあかしせり
四四 ペテロこのことかたれるあひだみちきくところのすべてもの聖靈降せいれいくだれり
四五 ペテロともきたりし割禮かつれいある信者等しんじゃたち聖靈せいれいたまもの異邦人いはうじんにまでそゝげることおどろきぬ
四六 そはことなる邦々くにゞゝ方言ことばにて彼等かれらかたれるとかみあがむるとをきゝたればなり
四七 此時このときペテロこたへけるは我儕われらごとすで聖靈せいれいうけたる此人々このひとゞゝたれみづきんじてバプテスマをうけざらしむるものあらん
四八 つひしゅよりてバプテスマをうくべきこと彼等かれらめいこゝおい彼等かれらペテロ數日留すうじつとゞまらんことをねがへり


第十一章

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使徒等しとたちおよびユダヤぢゅうあるところの兄弟きゃうだいすでに異邦人いはうじんかみことばうけたりときく
ペテロエルサレム上のぼりしとき割禮かつれいあるものどもかれあらそ
いひけるはなんぢ割禮かつれいなきひといへいり彼等かれらともしょくせり
ペテロそのありはじめより次第しだいかたり彼等かれらあらはいひけるは
われヨッパまちありいのれるときうしなへる心地こゝちしててんより四角よすみつりたるおほいなるぬのごとうつはくだるをたるに其器そのうつはわがもとつけ
われとめ熟々之つらゝゝこれみれなか四足よつあしのものと野 獸 昆 蟲あらきけものはふものおよびそらとりありき
かつわれにペテロたちこれころしょくすべしといへこゑきけ
われいひけるはしゅよからじけがれたるものきよからざるものいま我口わがくちいりしことなし
こゑまたてんよりわれこたへかみきよめたるもの爾潔なんぢきよからずとするなかれといふ
かくごときこと三次みたびつひに各 物すべてのものふたゝびてん引上ひきあげられたり
十一 其時そのとき
[千八百六十七] あたりカイザリヤよりわれつかはせる三人さんにんものわがをるところのいへまへたて
十二 またみたまわれにうたがはずして彼等かれらともゆくべしといへかつこの六人ろくにん兄弟きゃうだいわれともなゆき其人そのひといへいり
十三 かれ我儕われらにつぐてん使者つかひ我家わがいへたちわれにむかひひとヨッパつかはペテロいふシモンむかへ
十四 其人そのひとなんぢおよなんぢ家族かぞくすくはるべきことばつげんといへるをたりと
十五 かくわがかたりはじめしとき聖靈せいれいはじめに我儕われらくだりごと彼等かれらにもくだれり
十六 其時そのときわれしゅいひたまへるヨハ子みづてバプテスマをなしたれども爾曹なんぢら聖靈せいれいよりてバプテスマをうけんとのことば憶起おもひいだせり
十七 すでかみしゅイエス キリストしんずるところ我儕われらたまひごときおなじ賜物たまもの彼等かれらあたへたまへばわれいかでかみさからふことをんや
十八
彼等かれらこのこときゝこたふるところなく惟神たゞかみあがめいひけるハしからん異邦人いはうじんいのちため彼等かれらにも悔改くいあらため予給あたへたまへること


十九 さてステパノついおこり苦難くなんよりちらされたる人々旅ひとゞゝたびしてピニケクプロおよびアンテオケいたりしがたゞユダヤびとにのみみちかた
二十 彼等かれらうちクプロクレ子人々ひとゞゝありてアンテオケきたしゅイエス福音ふくいんのべギリシャびとにもかたれり
二一 しゅこれとともにありおほく人信ひとしんじてしゅせり
二二 彼等かれらつい其聞そのきこエルサレムあるところの教會けうくわいみゝいりしかばついバルナバつかはしてアンテオケいたらしむ
二三 かれすでにいたかみめぐみよろこ彼等かれらこゝろかたうしゅつかんことをすゝめたり
二四 そはかれハ善人よきひとにて聖靈せいれい信仰しんかう滿みてものなればなりこゝおい數多あまた人主ひとしゅくはゝりぬ
二五 さてバルナバサウロたづねんためにタルソおもむ
二六 かれあひこれアンテオケ携來つれきたれりかく彼等かれら一年いちねんあひだともに教會けうくわいあつまりておほくたみおし弟子でしたちのキリステアンととなへられしハアンテオケよりはじまれり
二七 このころ數人すにん預言者よげんしゃエルサレムよりアンテオケきた
二八 そのうちひと
[千八百六十八] アガボなづくるものたちみたまによりしめしけるはあまね世界せかいおほいなる饑饉ききんあらんとそのことはたしてクラウデヲカイザルときおこりたり
二九 こゝおい弟子でしたちおのゝゝその力量ちからしたがひてユダヤすめところ兄弟きゃうだいすくはため彼等かれらものおくらんことをさだ
三十 つひ斯事このことおこなすなはバルナバサウロたくしてこれ長老ちゃうらうおくれり


第十二章

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當時そのころヘロデ王教會わうけうくわいうち數人すにん困苦なやまさんとて彼等かれらとら
かつやいばをもてヨハ子兄弟きゃうだいヤコブころせり
是時このことユダヤびとこゝろかなへるをかれまたペテロをもとら此時このとき除 酵 節たねいれぬぱんのいはひなりき
すでかれとらへひとやにいれ逾 越 節すぎこしのいはひののちたみまへ曳 出ひきいださんとおも十六人じふろくにん兵卒へいそつこれまもらしめたり
ペテロ如此獄かくひとやまもられ教會けうくわいこれため懇切神ひたすらかみいの
ヘロデかれ曳出ひきいださんとする前夜まへのよペテロふたつくさりつながれて二人ふたり兵卒へいそつあいだねむ守 者まもるものまへあり其 獄そのひとやまもれ
ときしゅ使者來つかひきたりければ光 獄ひかりひとやうち照 輝かゞやくその使者つかひペテロわきたゝきこれさますみやかにおきよといひしにくさりそのよりおちたり
使者つかひかれにいひけるは爾帶なんぢおびをしめくつはけペテロそのごとくせり天使つかひまたいひけるはなんぢうわぎまとひわれしたが
ペテロいでこれしたがひしが其使者そのつかひなすことの眞實まことなるをしら異象まぼろしならんとおも
かく第一第二だいいちだいに謷固かためすぎ城邑まちいるところの鐵門てつのもんいたりしに其門そのもんおのづから彼等かれらためひらすなはいでひとつちまた徑行すぎゆくとき其 使 者 忽そのつかひたちまかれよりはなれたり
十一 ペテロさとりいひけるはわれいままことしゅその使者つかひつかはしてヘロデおよびすべユダヤびと願望のぞみよりわれ拯出すくひいだたまひこと
十二 かれさとりのちヨハ子マコといふひとはゝなるマリアいへいたりしにおほくひとこゝにあつまりていのりゐたり
十三 ペテロもんたゝけるときローダなづく下婢來しもめきたりてこれうかゞひしが
[千六百六十九] 十四 ペテロこえなるをしりければよろこびたえもんをもひらかずして趨入かけいりペテロもんまへたつことをつぐ
十五 彼等かれらローダいひけるは爾 狂なんぢくるへされども女 力 言おんないひはり我言わがことばたがはずといふかれらまたいひけるはそはペテロてん使者つかひなり
十六 ペテロなほもんたゝきやまざりしかば彼等門かれらもんひらペテロおどろけり
十七 ペテロうごかして彼等かれらこえしづめしめしゅおのれひとやより引出ひきいだたまひことありさまつげまた此事このことヤコブおよ兄弟きゃうだいたちにしめせといひつひいでほかところゆけ
十八 天明よあけおよびときペテロ如何いかゞなりし兵卒へいそつどものうちにて其騒擾そのさわぎ容易ひとかたならざりき
十九 ヘロデペテロたづぬれども見出みいださずつひ守卒まもるもの審問たゞし彼等かれら死罪しざいめいかくヘロデユダヤよりカイザリヤくだりとゞまれり


二十 ヘロデツロシドンものむかひはなはだしくいかりいだきければ彼等心かれらこゝろあはせて其所そのもときた内侍ないじしんブラスト親睦したしみをなしこれより平和やはらぎもとそはかれらのわうくにより糧食しょくもつうればなり
二一 ヘロデそのさだめたるおい王 服わうのころもつけそのくらゐ彼等かれらむかひかたれり
二二 民聲たみこゑあげいひけるはかみこゑなりひとこゑあら
二三 ヘロデさかえかみせざるによりしゅ使者つかひたゞちにかれうちしかばかれむしためかまれて氣絶いきた
二四 さてかみみち益 廣ますゝゝひろま
二五 バルナバおよサウロ其 職そのつとめ成畢とげおはりてマコなづくヨハ子ともなひてエルサレムよりかへれり


第十三章

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アンテオケ教會けうくわい數人すにん預言者よげんしゃ教師けうしありすなはナルナバおよニゲルよばるゝシメオンまたクレ子ルキヲおよ分封わけもちきみヘロデ乳兄弟ちきゃうだいマナエンおよびサウロなり
かれらしゅつかへ斷食だんじきをせらるとき聖靈せいれいいひけるハわがためにバルナバサウロ甄 別えらびわかちてわがかれらにめいぜしところことおこなハしめよ
こゝおい斷食だんじき祈禱いのりをし二人ふたりうへおきこれゆかしむ
如此かくこの二人ふたり
[千八百七十] 聖靈せいれいつかはされてセルキアくだ彼處かしこより舟出ふなでしてクプロおもむけり
彼等かれらサラミスにつきユダヤびと諸會堂しょくわいだうにおいてかみことばのべまたヨハ子もちゐて其幇助そのたすけとなせり
かく彼等島かれらしまうちパポスいたりしときいつはり預言者よげんしゃバリエスなづくユダヤびとあふ
このひとくに方伯つかさセルギヲパウロといふ智 人かしこきひとともにありとき方伯つかさバルナバサウロまねきかみことばきかんことをもと
しかるに卜 者うらなひしゃエルマス此名このなとけ卜 者うらなひしゃ二人ふたりものさから方伯つかさをしてしんずることなからしめんとせり
サウロ一名またのなパウロ聖靈せいれい滿みたされとめかれ
いひけるハあゝすべての詭譎いつはり好惡わるだくみにてみてるもの惡魔あくますべてのたゞしきことのてき爾主なんじしゅすぐなるみちまげやめざる
十一 しゅいまなんぢうへありなんぢめしひとなりしばらざるべしすなはかれ目曚暗めかすみくらみておのれてびきせんものもとめさまよへり
十二 こゝおい方伯つかさこの所爲ありしことしゅをしへおどろこれしんぜり


十三 パウロおよびその從人ともなへるものパポスより舟出ふなでしてパムフリアペルゲいた此處こゝにてヨハ子彼等かれらわかれエルサレムかへ
十四 彼等かれらこゝよりたびしてピシデアアンテオケいた安息日あんそくにち會堂くわいだういりしぬ
十五 律法おきて預言者よげんしゃふみ讀畢よみをはりしのち會堂くわいだうつかさたちひと彼等かれらいはせけるハ人々兄弟ひとゞゝきゃうだい若民もしたみすゝむることあらいへ
十六 パウロたちうごかいひけるハイスラエル人々ひとゞゝおよびかみうやまもの爾曹聽なんぢらきくべし
十七
このイスラエルたみかみ我儕われら先祖せんぞたちをえら其民エジプトやどりをりしときこれをそだてかつ勁手つよきて彼等かれら彼處かしこよりみちびいだ
十八 おほよ四十年しじふねんのあいだにてこれ撫 養いだきやしな
十九 またカナン七族しちぞくたみほろぼ其地そのち彼等かれらつがしめ
二十 のちおよそ四百五十年しひゃくごじふねんのあひだすなは預言者よげんしゃサムエルときまでこれ審士さばきびとあたへたまへり
二一 厥後そののちかれらわうもとめければ四十年しじふねんあひだベニヤミン支派わかれ
[千八百七十一] サウロあた
二二 のちまたかれうつダビデたて彼等かれらわうとなしかつこれがためあかししていひたまひけるはわれエッサイダビデいへ我心わがこゝろかなひとたりかれすべ我旨わがむね行遂なしとぐべし
二三 かみ其約束そのやくそくしたがひて斯人このひとすゑより救主すくひぬしイエスイスラエルおこたまへ
二四 そのきたまへヨハ子まづイスラエルすべてたみ悔改くいあらためのバプテスマを宣傳のべつたへたり
二五 ヨハ子そのつとめおこなひしときいひけるは爾曹なんぢらわれをたれおもふやわれ其人そのひとあらわれよりのち來者くるものありわれ其足そのあしくつとくにもたらざるものなり
二六 人々ひとゞゝ兄弟きゃうだいアブラハム子孫しそんおよび爾曹なんぢらのうちかみうやまもの此救このすくひことば爾曹なんぢらおくりたまへり
二七 それエルサレムすめものおよび其有司そのつかさたちはキリストしらかれつみさだめ安息日あんそくにちごとによむところの預言者よげんしゃことばならしめたり
二八 かつころすべきゆゑざれどもピラトこれころさんことをもと
二九 すでかれついしるされたるすべてことならしめなければこれよりおろしてはかおけ
三十 されどもかみこれよりよみがへらせたまへ
三一 多 日おほくのひあひだかれはガリラヤよりおのれともエルサレムのぼりものあらはれたりいまかれのためあかしたみにするもの其人々そのひとゞゝなり
三二 我儕われらよろこびおとづれ爾曹なんぢらにつぐかみイエスよみがへらせて先祖等せんぞたちたてたまひし約束やくそく其子孫そのしそんたる我儕われらなしたまへり
三三 すなは第二篇だいにへんなんぢ我子わがこなり我今日われけふなんぢをうめりとしるされたるがごと
三四 また朽壞くされせざるさまかれよりよみがへらすることついてはごといへいはくわれダビデ約束やくそくせしところたのむべきめぐみ爾曹なんぢらあたべし
三五 是故このゆゑまたほかのへんなんぢ其聖者そのきよきもの朽果くちはてしめずといへ
三六 それダビデかみむねしたが其世そのよため勞苦はたらきしのちねむり先祖せんぞたちとともおかつひ朽果くちはてたり
三七 しかれどもかみよみがへらせたまひもの朽果くちはてざりき
三八 され人々ひとゞゝ兄弟きゃうだい此人このひとよりつみゆるし爾曹なんぢらつたはれるをしれ
三九 爾曹なんぢらモーセ律法おきてよりせらるゝこ
[千八百七十二] とあたはざるすべてつみしんずるものみなかれによりゆるされとせらるゝなり
四十 され爾曹なんぢらつゝしめおそらくは預言者よげんしゃふみいはれたることなんぢらにおよば
四一 いは藐忽者あなどるものおどろ且亡かつほろびそはわれ爾曹なんぢらひとつわざおこなハんひとこれを爾曹なんぢらつぐるとも爾曹信なんぢらしんぜざるべければなり


四二 かれら會堂くわいだういでんとさせしときつぎ安息日あんそくにちまたこのことのべよとこはれたり
四三 あつまりすでにさんじておほくユダヤびとおよび其教そのをしへいりかみうやま人々ひとゞゝパウロバルナバしたがへりパウロバルナバ彼等かれらかたりつねかみめぐみをらことすゝ
四四 つぎ安息日あんそくにちいたまち人々ひとゞゝかみことばきかんとてほとん皆集みなあつまれり
四五 そのおほあつまれるをユダヤ人嫉妬ひとねたみこゝろ滿みたせて爭辯さからひかつのゝしパウロいふところをこばめり
四六 パウロバルナバ毅然はゞからずしていひけるハ夫神それかみことばかなら先爾曹まずなんぢらつぐべきなりしかれども爾曹なんぢらこれすてかつおのれ永 生かぎろなきいのちうくべきものあらずとみづかさだめたれば我儕轉われらうつり異邦人いはうじんむかふべし
四七 蓋主そはしゅかく我儕われらめいたまへりいは爾救なんぢすくひとなりてはてにまでおよばんためわれなんぢをたて異邦人いはうじんひかりとなせり
四八 異邦人いはうじんこれをきゝよろこびてしゅことば讃美あがむすべて永 生かぎりなきいのちさだめられたるものしんぜり
四九 こゝおいしゅみちあまねく此地このちひろまりぬ
五十 しかるにユダヤ人神びとかみうやま貴 婦 等たふときおんなたちおよびまち尊長おもだちたる人々ひとゞゝこゝろうごかさせてパウロバルナバ窘迫くるしめそのさかいより逐出おひいだせり
五一 二人ふたり彼等かれらむかあしちり打拂うちはらひてイコニオムいたれり
五二 かく弟子等でしたちおほい喜樂よろこびいだきかつ聖靈せいれいみたされたり


第十四章

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二人ふたりものイスラエルおいともユダヤびと會堂くわいだういりみちつたユダヤびとおよびギリシャびとおほしんぜしめたり
しかるしんぜざるユダヤ人異邦人びといはうじんすゝめ其心そのこゝろ兄弟きゃうだいにくましむ
彼等かれらひさしく彼處かしことどましゅよりはばからずみちつたしゅまた彼等かれら休徴しるしふしぎなるわざおこなハしめて
[千八百七十三] 其恩そのめぐみことばあかしせり
まち人々二ひとゝゝふたつわかあるひユダヤびとくみあるひ使徒等しとたちくみせり
かく異邦人いはうじんユダヤびとおよび其有司そのつかさたちとも擁上さわぎたち彼等かれらはづかしめいしにてうたんとす
二人ふたり者之ものこれしりルカオニヤまちなるルステラデルベ及 其 四 周およびそのまはりのが
彼處かしこおい福音ふくいんつた


ルステラ一人ひとり足弱あしよわきものしゐたりかれ生來うまれつき跛者あしなへにていま歩行あゆみしことなし
此人このひとパウロかたるをきゝをりしがパウロとめ其愈そのいやさるべき信仰しんかうあるを
大聲おほごゑいひけるはなんぢあしにてたゞしたて彼 躍 上かれをどりあがあゆめり
十一 人々ひとゞゝパウロなしことこゑあげルカオニヤ方言ことばにていひけるは諸 神 人かみたちひとかたちになりて我儕われらくだれり
十二 彼等かれらバルナバゼウスよびパウロもっぱ諸語事かたることをするひとなるがゆゑヘルメスこれよぶ
十三 とき其邑そのまちまへにあるところゼウス祭司犢さいしうし花箍はなかざりもん携來もちきたりておほくひととも犧牲いけにへさゝ彼等かれらまつらんとせり
十四 使徒しとバルナバパウロこれきゝおのころもさきはしりいで大衆ひとゞゝうちいり
十五 喊叫云さけびいひけるは人々ひとゞゝ何故なにゆゑ此事このことなす我儕われらまたなんぢらと同 情おなじじょうをもつところひとなり爾曹なんぢら福音ふくいんつたふるは爾曹なんぢらをして此 虚 妄このむなしきものをすててんうみおよび其中そのうち萬 物すべてのものつくたまへる活 神いけるかみかへらしめんがためなり
十六 すぎにしにはかみすべての異邦人いはうじん其己そのおのみちあゆむことをゆるたまひしかど
十七 また爾曹なんぢらめぐみてんよりあめふら豐穰ゆたかなる時候ときをあたへ糧食しょくもつ喜樂よろこびをもて爾曹なんぢらこゝろ滿みたしめおのれみづからあかしせざりしことなし
十八 此言このことば苦辛からうじておほくひと己等おのれら犧牲いけにへさゝげんとするをとゞめたり


十九 ときユダヤ人等びとらアンテオケイコニオムよりきたりておほくひとすゝいしをもてパウロうたしめすでしにたりとおもまちそと曳出ひきいだせり
二十 弟子等でしたちその周圍まはりたてるときかれおきてまちにいりつぎバルナバともデルベゆけ
二一 かく其邑そのまち福音ふくいんつたおほくひと弟子でしとなしまたルステラ
[千八百七十四] イコニオムアンテオケかへ
二二 弟子等でしたちこゝろかたう其常そのつね信仰しんかうをらんことをすゝまたおほくの艱難かんなん我儕われらかみくにいたべきことをおし
二三 かく二人ふたりのもの教會けうくわいごとに長老ちゃうらうをえらび斷食だんじき祈禱いのりをなしはやくよりしんじをるところしゅこれゆだねたり
二四 かれらあまねピシデアパムフリアいた
二五 またペルゲみちつたへアッタリアくだ
二六 彼處かしこよりふねにてアンテオケわたこゝ彼等かれらさきにかみめぐみゆだねられいまとげしつとめおこなはんとていでところなり
二七 すでいたりて教會けうくわいひとあつおのれたすけてかみなしたまへるすべてこと異邦人いはうじんのために信仰しんかうひらたまひしことつぐ
二八 かくひさし弟子等でしたちとも彼處かしことゞまれり

第十五章

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ユダヤよりくだり人々ひとゞゝ兄弟きゃうだいたちにをしへけるハもしなんぢらモーセならはししたがひて割禮かつれいうけずバすくはるゝことを
これよりパウロバルナバおほい彼等かれらあらそ且論かつろんぜしかバ兄弟等きゃうだいたちこのことついパウロバルナバおよびそのうち數人すにんエルサレムのぼら使徒しと長老等ちゃうらうたちあはしめんことさだ
こゝおい彼等教會かれらけうくわい人々ひとゞゝおくられいでピニケおよびサマリア異邦人いはうじんかみせしことつぶさのべすべての兄弟きゃうだいおほいよろこバしめたり
彼等かれらエルサレムいた教會けうくわい使徒しとおよび長老ちゃうらうたちにむかへられおのれたすけてかみなしたまひしすべてことつげしに
パリサイしゅううちなる信者しんじゃ數人すにんたちていひけるハ彼等かれらかなら割禮かつれいほどこ且命かつめいじてモーセおきてまもらしむべし
使徒等しとたちおよび長老ちゃうらうたち此事このことはからためあつまれり
こゝおほくろんありしがペテロたち彼等かれらいひけるハ人々兄弟ひとゞゝきゃうだいひさしさきかみわれを爾曹なんぢらうちよりえら福音ふくいんことば我口わがくちより異邦人いはうじんきか彼等かれらをしてこれしんぜしめたまひこと爾曹なんぢらしるところなり
かつひとこゝろしりたまふかみ我儕われら聖靈せいれいあたへごと彼等かれらにもあたへ其證そのあかしをなし
[千八百七十五] 又信仰またしんかうをもて其心そのこゝろきよ我儕われら彼等かれらあひだわかちなさざりき
しかる今何故いまなにゆゑわれらの先祖せんぞたちも我儕われらおひあたハざるくびき弟子等でしたちくびつけかみこゝろむる
十一 彼等かれらすくはるゝごと我儕われらしゅイエスキリストめぐみよりすくはるゝことをしんずるなり
十二 こゝおい人々ひとゞゝみなもくしてバルナバパウロかみおのれをもて異邦人いはうじんうちおこなたまへる休徴しるし奇 跡ふしぎなるわざとをのぶるをきけ
十三 彼等かれら言畢いひをはりしのちヤコブこたへいひけるハ人々兄弟ひとゞゝきゃうだいわれきけ
十四 神初かみはじめ異邦人いはうじん眷顧かへりみそのうちよりおのあがむたみ取給とりたまひしことシモンすでこれのぶ
十五 預言者よげんしゃことばこれとあへ其書そのふみ
十六 此後こののちわれかへりすで傾圯たふれたるダビデ幕屋まくやふたゝおこ其破壞そのくづれあとふたゝつくりこれたつべし
十七 これそののこりたみおよびすべ我名わがなをもてとなへらるゝ異邦人いはうじんしゅたづねさせんためなりこのすべてのことおこなかみこれをいふしるされたるがごと
十八 かみはじめよりそのすべての所作わざしりたまへり
十九 是故このゆゑわれおもふ異邦人いはうじんうちよりかみするものわづらはすハよろしからずと
二十 しかれどもふみ彼等かれらおくり偶像ぐうざうけがされたるもの姦淫かんいん勒 殺くびりころしたるものとをいましむべし
二一 そハいにしへより安息日あんそくにちごとに會堂くわいだうにてモーセふみよむゆゑそれのぶるもの各邑まちゝゝにあれバなり


二二 こゝおい使徒しとおよび長老ちゃうらうたち全會ぜんくわいとも其中そのうちよりひとえらこれパウロバルナバともアンテオケつかはさんことさだむそのえらばれたるひと兄弟きゃうだいうち尊 者おもきものすなハちバルサバよばるゝユダおよびシラスなり
二三 彼等かれらよせおくりふみいは使徒長老しとちゃうらうおよび兄弟きゃうだいアンテオケスリヤキリキヤにをる異邦人いはうじん兄弟きゃうだいやすきとふ
二四 我儕われらめいぜざるもの我儕われらうちよりいでことばをもて爾曹なんぢらわづらは爾曹なんぢらこゝろみだしたりときく
二五~二六 これより我儕心われらこゝろおなじうひとえらび我儕われらあいするバルナバパウロともつかはさんとさだむこの二人ふたり我儕われらしゅイエス キリストため其命そのいのちをもをしまざりしものなり
二七 我儕われら
[千八百七十六] ユダシラスつかは彼等かれらくちより此事このことのべしめんとす
二八 そは聖靈せいれい我儕われら肝要かんえうなるもののほかなにをも爾曹なんぢらおはせじとさだめたり
二九 すなは偶像ぐうざうさゝげもの勒 殺くびりころしたるもの姦淫かんいんとをいましむべしもしこれらのこと爾曹なんぢらみづからつゝしまバよしねがハくハ爾曹健剛なんぢらすこやかなれ
三十 彼等遣かれらつかはされてアンテオケいた衆人ひとゞゝあつめ此書このふみわた
三一 衆人ひとゞゝこれをよみそのすゝめうけよろこべり
三二 ユダシラス亦預言者またよげんしゃなればおほくことば兄弟きゃうだいすゝ彼等かれらかたうせり
三三 かく二人ふたり者暫ものしばら彼處かしことゞま後兄弟のちきゃうだいたちに安然あんぜんしゅくされ其己そのおのれつかはしゝものところおくられたり
三四 パウロバルナバアンテオケとゞま其餘そのほかおほくひとともをしへをなししゅことば宣傳のべつた


三五 數日すじつのちパウロバルナバいひけるハ我儕われらさきにしゅことばのべところ諸邑まちゝゝまたゆきて兄弟きゃうだい光景ありさまいざとふべし
三六 さてバルナバマコなづくヨハ子ともなハんとおもへり
三七 しかれどもパウロさきパムフリアにておのれよりはな役事はたらきのためともゆかざりしこのマコともなふハよからじとおもひしにより
三八 つひ二人ふたりなか激 論はげしきあらそひおこり相 別あひわかれバルナバマコともなクプロわたれり
三九 パウロシラスえら兄弟きゃうだいよりおのれしゅめぐみゆだねられて出立いでたち
四十 スリヤおよキリキヤ諸教會しょけうくわいかたうせり


第十六章

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かくパウロデルベおよびルステラいたれりこゝテモテいへ弟子でしあり其母そのははユダヤをんなにて信者しんじゃなり其父そのちゝギリシャ人也びとなり
かれルステライコニオム兄弟きゃうだいよりほまれたり
パウロこれたづさへともゆかんことを欲其處のぞみそのところにをるユダヤびとためかれ割禮かつれいおこなへり蓋人々皆そはひとゞゝみなかれがちゝギリシャびとなるをしればなり
かく諸邑まちゝゝをすぎエルサレムにある使徒しとおよび長老等ちゃうらうたちさだめたる條規いましめまもらせんとてこれ其人々そのひとゞゝさづ
これより諸教會しょけうくわい信仰堅しんかうかたくなり其数そのかず日々ひゞまし


[千八百七十七] 彼等かれらフルギアガラテヤすぎときアジアみちつたふることを聖靈せいれいとゞめられ
つひムシアちかづビチニアゆかんとせしがイエスみたまこれをゆるさゞりければ
彼等かれらムシアトロアスくだれり
かくパウロおい一人ひとりマケドニアびとたちておのれこひマケドニアわたり我儕われらたすけよといふまぼろしたり
かれまぼろしこれのちわれらまことしゅ我儕われらをしてマケドニアびと福音ふくいんのべしめんと我儕われら召給めしたまふことを推量おしはかりたゞちマケドニアゆかんとす
十一 こゝおいトロアスより航海ふなでをし眞直ますぐにはせてサモトラケいた其次日そのあくるひ子アポリスゆき
十二 彼處かしこよりピリピいたピリピマケドニアひとつわかれうちなるなるまちにしてすなは植民地しょくみんちなり我儕數日われらすじつこのまちとどまれり
十三
安息日あんそくにち我儕邑われらまちをいでかはほとりなるつね祈禱いのりをするところにゆきしてあつまれる婦女等をんなたちかたりしに
十四 紫布むらさきぬのあきなテアテラまち商人あきびとにてかみうやまルデヤなづくるをんなきゝゐたりしゅそのこゝろひらきパウロかたることにこゝろもちゐしめたま
十五 かのをんなその家族かぞくともにバプテスマをうけこふいひけるハ爾曹なんぢらもししゅしんずるものわれ我家わがいへきたとどまれとしひ我儕われらいれしめたり
十六 われら祈禱所いのりのばゆけるとき卜筮うらなひをするれいよられたる一人ひとりをんな奴隷どれいわれらにあふかれは卜占うらなひより其 主そのあるじたちにおほくさせしものなり
十七 パウロ我儕われらしたがひて喊叫さけびいひけるハ此人々このひとゞゝ至 高いとたかかみしもべにて救 道すくひのみち我儕われらのぶものなり
十八 このをんなかくすることひさしかりければパウロこれうれへかへりみてれいいひけるハわれイエス キリストよりなんぢめい此婦このをんなよりいで靈 立 刻れいたちどころいづ
十九 こゝおい其主そのあるじたちのぞみすでにされるをパウロシラスとら市場いちばひき有司等いうしたちいたれり
二十 すで上官つかさもと曳來ひききたりていひけるハ此人々このひとゞゝユダヤびとにして我儕われらまちみだ
二一 ロマびとたる我儕われらうくべからずおこなべか
[千八百七十八] ざるところ習俗ならはしつたふものなり
二二 大勢たいぜいのものひとしたち彼等かれらをせめ上官つかさハそのころもをはぎめいじてこれむちうたしむ
二三 おほむちうちてのちひとやいれこれを固守かたくまもれと獄吏ひとやもりめい
二四 獄吏ひとやもりかくのごとめいうけしにより彼等かれらおくひとやいれあしがせをかけたり
二五 かく夜半よなかごろパウロシラス祈禱いのりをなし且神かつかみ讃美さんび囚者めしうどみゝかたぶけてこれきゝゐたりしが
二六 にはかおほいなる地震ぢしんありてひとや基礎いしずゑふるひうごことゞゝくたゞちひらすべて囚者めしうど械繫なはめとけたり
二七 獄吏目ひとやもりめさま獄門ひとやのもんひらけたるを囚者めしうどすでににげしとおもかたなぬき自殺じさつせんとしけれバ
二八 パウロ大聲おほごゑよばゝいひけるハみづかそこななか我儕われらみなこゝあり
二九 此時このときかれあかりもとめおどりいり戰慄をのゝきパウロシラスまへ俯伏ひれふし
三十 彼等かれらそと携出つれいだしていひけるハきみわれすくハれんためなになすべき
三一 彼等かれらいひけるハしゅイエス キリストしんぜよしからバなんぢおよびなんぢ家族かぞくすくはるべし
三二 つひかれおよび其家そのいへすべてものしゅことばかたれり
三三 この卽時そのときかれ二人ふたりいざな其 杖 傷そのうちきずあらひたゞち其家族そのかぞくともみなバプテスマをうけ
三四 かつかれらをおのいへ引來つれきた食物しょくもつ其前そのまへそなへすべての家族かぞくともかみしんじてよろこべり
三五 天明よあけいたり上官つかさたち下吏したやくつかはいはせけるハ其人々そのひとゞゝゆるすべし
三六 獄吏ひとやもりこのことばパウロつげいひけるハ上官つかさなんぢらをゆるせと言遣いひつかはせりされいまいでゝ安然やすらかゆけ
三七 パウロ彼等かれらいひけるハ我儕われらロマびとなるにつみさだめずして公然おほやけ我儕われらむちう且獄かつひとやいれたりしかしていまひそかにいださんとするよろしからず彼等かれらみづからきたり我儕われら引出ひきいだすべし
三八 下吏したやくこのこと上官つかさたちにつげければ彼等かれらそのロマびとなるをきゝおそ
三九 きたり彼等かれらこゝよりいでんことをこひつひに引出ひきいだしてまたそのまちさらんことをねがひたり
四十 二人ふたりのものひとやいでルデアいへにいり兄弟等きゃうだいたちあひこれにすゝめをなして出去いでさり