幽霊

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本文[編集]

幽霊
萩原恭次郎

私の思想は髪毛や胃や腸である!
私は晩飯を食つて女に小説をよんでやる!
女でも男でもない幽霊ゴースト
脳膜にぼんやりとうつゝてゐる!
ぶらさがつた上着のやうに青ざめて笑つてゐる!
せむしのやうに部屋の中を泳いでゐる!
女の臓腑や胎児まですつかりうつゝてゐる!
赤い人形はいくつも部屋に
糸につるされてさがつてゐる!
彼の女は部屋中にポカンとした目を開けてゐる!
大きな眼は何を見てゐるのか知れない!
不思議な世界がうつゝてゐるらしい!
時計のやうに寂しい夜が歩いて来る音が聞へる!

解題[編集]

作者:萩原恭次郎

底本:萩原恭次郎『死刑宣告』日本図書センター〈愛蔵版詩集シリーズ〉(2004年3月25日初版第1刷発行) ISBN 978-4-8205-9599-1

表記について:旧仮名遣いは初版本(1925年10月18日発行、長隆舎書店)のまま、漢字は常用漢字に改めてある。

  • 註: この文書ではルビが使用されています。ここでは「単語ルビ」の形で再現しています。ルビが正しく見えない場合は、{{Ruby}}の解説に従ってCSSを設定してください。